条例読解が済んでカウンターを書いてはみたものの、やっぱり条例規則まで踏み込まないとどうにもこうにも説明不足感が否めないので重い腰をよいしょと上げてみる。

新規則の全文がまだ見当たらないので、対照表改正部分旧規則から随時引きます。

とはいえ、既にh_wiz(@h_wiz)さんが読み下しをしてるので補完的なポジションに甘んじることとする。できるだけ図示や構造表示がしやすい部分に特化し、併せて読んで二度美味しい的なとこを目指すとしよう。そうしよう。

あくまでも補完なので、まずはこちらを読んでから。

コンテンツ


区分陳列とは何ぞや(指定図書/表示図書に求められる販売方法編)

タイトルなげぇ。

所謂ゾーニングで、特段の配慮が必要なもの(今条例では表示図書類や指定図書類、指定がん具などなど)を、その他一般の物品と分けて陳列することで、意図しない販売や入手を阻害する狙いで行う処理です。

各所での話を見ていると「この条例で言うゾーニングとは何か」がすれ違っている事がままありましたので図解してどんなもんかを理解してみましょう。

条例が区分陳列を求めている物

この図のように改正後の今条例では第九条3項/ 第九条の二4項で、「都知事が指定した指定図書類」と「自主規制団体が指定した表示図書類」に対して区分陳列を求めています。
その方法については「東京都規則で定めるところにより」としていますので、条例規則から引いてみます。

陳列方法については今回特に改正されていないので旧規則から。

第19条条例第9条第3項及び第9条の2第4項の規定により指定図書類等を他の図書類と明確に区分する方法は、次の各号のいずれかの措置をとり、かつ、指定図書類等を陳列する場所(第1号に規定する措置をとる場合にあっては当該場所の入口、第3号に規定する措置をとる場合にあっては当該仕切り板の表面)の見やすい箇所に、容易に判読できる色調及び大きさの文字を使用して、当該場所に陳列されている図書類は、青少年に販売し、頒布し、若しくは貸し付け、又は閲覧させ、若しくは観覧させることが制限されている旨の掲示をすることとする。
一 営業の場所に、間仕切り、ついたてその他の方法により容易に見通すことのできない場所を設け、当該場所に指定図書類等を陳列すること。
二 指定図書類等を、他の図書類を陳列する陳列棚の外周から60センチメートル以上離れた陳列棚に陳列すること。
三 陳列棚の指定図書類等を陳列しようとする各棚板の前面と直交する鉛直面上に、当該棚板の前面から10センチメートル以上張り出した仕切り板(透視できない材質及び構造のものとする。)を設け、指定図書類等を、仕切り板と仕切り板との間に陳列すること。
四 指定図書類等を、床面から150センチメートル以上の高さの位置に、背表紙のみが見えるようにしてまとめて陳列すること。
五 前各号に掲げるもののほか、指定図書類等が他の図書類と明確に区分されていると知事が認める方法

うむ。実に読みにくい。よって図示する。

ここで書かれている区分陳列の方法は次の4つ。

  • 間仕切りやついたてを使って成人用エリアとして区切る方法(1号)
    所謂 ビデオ屋やレンタルショップの18禁エリア方式。
  • 一般用の棚と60センチ以上離れた棚に陳列する方法(2号)
    1号よりも緩い島分け方式
  • 一般用の棚との間に10センチ以上張り出した不透明の仕切り板を作る方法(3号)
    コンビニで良く見る「成人向け」という仕切りを作る方式
  • 高さ150センチ以上の棚に背表紙を向けた状態で並べる方法(4号)

さらに、これらの区分を行うに当たって見やすい場所(特例あり)に「ここは成人向けだから青少年には販売(等)できません」的な表示をするように定めている。

なんという緩い規則だ。
流石にこれをするのは難しいという反論は厳しいよね。

区分陳列と並んで求めている包装とは

区分陳列と並んで、改正後の今条例では第九条2項/ 第九条の二2項で、「都知事が指定した指定図書類」と「自主規制団体が指定した表示図書類」に対して包装を求めています。

要するに「販売しなくても立ち読みができる」という状態を防止しようとしているものです。

これも「東京都規則で定めるところにより」としていますので、条例規則から引いてみます。

第18条条例第9条第2項及び第9条の2第3項の東京都規則で定める方法は、次の各号のいずれかに該当するものとする。
一 ビニール袋等により指定図書類又は表示図書類(以下「指定図書類等」という。)全体の包装を行うこと。
二 伸縮しない材質のひもにより十字掛け又はたすき掛けを指定図書類等に行うこと。
三 前二号に掲げるもののほか、指定図書類等を容易に閲覧できない方法と知事が認める方法

これは図示するまでもないね。

ここで求めている方法は次の3点のいずれか。

  • ビニールで包む方法(1号)
  • ひもで十字掛け、たすき掛けする方法(2号)
  • その他 開けないようにする措置
    現在の自主規制で行われている帯紙、所謂シール止めもここに当たる。

包装は小売店にとっては手間だけど、法の趣旨からして仕方ない面もあると思う。
このへんコンビニは徹底してやっとる印象。

この条例(改正後)で規制の対象となる図書類(7条1項1号2号関連)

今回の騒動の大元に斬り込んでみる。
対象となる条例規則は第十五条と改正第十五条2項、条例では第八条一項一号と二号。

例によって関連条文を図示して並べてみる。

分量が多いので割とでかくなった。

これを基に、騒動の発端になった条例第八条一項二号と、改正条例規約十五条2項、外縁の接する第八条一項一号と、条例規約十五条一項一号を比較する。

まずは発端の方の条例第八条一項二号と、改正条例規約十五条2項を読みといてみる。

この条項では「強姦等の著しく社会規範に反する性交等」と、「近親者間における性交等を」特に挙げている。

これらを(「社会的に是認されているように」or「当該行為の場面を『みだりに or 著しく詳細に or 過度に反復し』」 ) and (「描画」 or 「表現」) することで、「青少年の当該行為に対する抵抗感を著しく減ずるものであること。」 というのが要件になっている。

では、果たしてこれは第八条一項一号とはどのような関連になっているのだろうか。
こちらも併せて読みといてみる。

このように、八条一項一号には「卑わいな感じを与え」もしくは「人格を否定する性的行為を容易に連想させる」事が必須として係っている。
前に挙げた二号と比べてみるとこの必須事項が存在しないのが分かる。

と、いうことはどういうことか。

条項の範囲を考えれば「著しく性的感情を刺激するもの」は第8条1項と条例規則15条1項で抑え、そこから漏れた「著しくとは言えないもの」のうち「強姦等(ry」と「近親者間に(ry」を特に指定して規制していこうという意図が見える。

旧条例規則でどのようなものが「著しく性的感情を刺激するもの」とされたかは、審議会の議事録を見るとわかるように「モザイク」「擬音」などを勘案してかなり厳しく基準を引いている。

今回の改正では、この基準に漏れながらも「強姦等(ry」と「近親者間に(ry」を不当に扱っているものを成人指定するべきとしているのがよくわかる。

つまり今回の改正は「旧来の基準でガチエロと判定されなかったものでも強姦や近親相姦を不当に扱ったもの」を成人指定しようとしていると言えるんじゃなかろうか。

(以下 追記予定)