日本では全く話題になってないのが実に腹立たしい。
9/11にイスラエル当局がヒズボラへの武器供給を阻止する目的でシリア北部を爆撃したと発表しました。
イスラエル軍がシリア北部を空爆…米メディア報道 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

 【エルサレム=三井美奈】イスラエル軍が今月初旬、シリアからレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラへの武器流入を阻止する目的でシリア北部を空爆したと11日、複数の米主要メディアが米当局筋の話として報道した。
 イスラエル政府はコメントを拒否している。
 イスラエルは、昨年夏のレバノン紛争で交戦したヒズボラが、イラン、シリア両国の軍事支援を受けていると見て、警戒を強めていた。
(2007年9月12日22時50分 読売新聞)

これに対し何故か北朝鮮当局が非難声明を出しました。
「シリア自主権侵害する行為」 朝鮮外務省代弁人

鮮外務省のスポークスマンは11日、朝鮮中央通信社記者の質問に答え、イスラエルの軍用機が6日、シリア領空を不法侵犯し、東北部の砂漠地域に爆弾を投下して逃げる事件が起きたことについて、「これは、シリアの自主権を乱暴に侵害し、地域の平和と安全を破壊する危険きわまりない挑発行為である」と指摘した。
 スポークスマンは、「われわれは、イスラエルのシリア領空侵犯行為を強く糾弾し、国の安全と地域の平和を守るためのシリア人民の正義の偉業に全面的な支持と連帯を表明する」と強調した。(朝鮮通信)
[朝鮮新報 2007.9.15]

これは実によく分からない話で、北朝鮮が非難する筋合いでも無い物をなぜ?という話でした。(北朝鮮と昔から仲良かったのを含めたとしても。)
ところが、これが欧米をも巻き込む核拡散の一端であったとの状況証拠が続々と現れています。


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中東地域の地図

シリアはアメリカが北朝鮮、イラン、キューバ、スーダンと共にテロ支援国家に指定されている国で、繰り返しイスラエルにテロ行動を取り続けるヒズボラやイスラム・ジハードを庇護していると言われています。


イスラエルからアメリカにもたらされた情報は驚くべき事に、北の核技術がシリアに移転されている可能性を示していました。
時事ドットコム:北朝鮮、シリアの核施設に協力か=イスラエルから米へ情報提供

【ワシントン13日AFP=時事】米紙ワシントン・ポストは13日、情報筋の話として、北朝鮮がシリアの核施設建設に協力している可能性があると報じた。(写真はシリアの首都ダマスカスの夜景)
 イスラエルの情報機関がこうした情報を米政府に伝達したという。同紙はこの情報提供について「劇的なものだ」としている。
 情報は過去30日の間にもたらされた画像など。ハドリー大統領補佐官(国家安全保障担当)が少数の高官にしか知らせないよう指示しているため、多くの情報当局者はこの情報をまだ知らないか、その重要性に気付いていないという。
 同紙は「これまでにミサイル関連技術で協力してきた北朝鮮とシリアが、核の分野でも共同事業を行うのではないかと疑われている」と伝えた。 〔AFP=時事〕

更に、シリアと事実上の同盟関係にあるイラクはフランスと対立を深めており、AFPによればサルコジ大統領は
サルコジ仏大統領、就任後初の外交方針演説 国際ニュース : AFPBB News

国際的懸案となっているイランの核開発問題については、フランスは断固として核兵器開発を許さないと強調しつつ、イラン側が計画を撤回すれば援助を提供する可能性もあると語った。「核武装したイランは容認できない。逆に欧州各国や米国、中国、ロシアなどとの交渉にイランが真剣に取り組めば、得るものが大きいということをイランに確信させるための努力は惜しまない」と語った。

としているものの、フィヨン首相やクシュネル外相は
仏外相の「最悪の場合戦争も」 発言で高まるイランとフランスの緊張 国際ニュース : AFPBB News

フランソワ・フィヨン(Francois Fillon)首相は、イランとの緊張状態は「極度」に高まっていると述べ、クシュネル外相が16日に行った、戦争という最悪の事態に備える必要があるとの発言をきっかけとした外交摩擦が拡大しているとの見解を示した。

と、戦争の可能性を否定せず極めて強い緊張状態にあります。


そのイランは
Iran threatens missile attacks on US targets – Telegraph

“If the United States is saying that they have identified 2,000 targets in Iran, then what is certain is that it is the Americans who are all around Iran and are equally our targets,” he told the official IRNA news agency.
アメリカが2000の標的をイラン国内に定めていると言っているようだが、アメリカ軍も我々の射程である。
Gen Koussechi added: “We have reached capacities that allow us to hit the enemy at a range of 2,000 kilometres.”
Koussechi将軍は2000kmの射程を持つミサイルを手に入れた、と追加した。

と、2000kmの射程を持つミサイルを持った事を表明し対仏姿勢を強めています。
イランへの核拡散はヨーロッパ全域が核の射程圏内に入る訳で、フランスの本気度は極めて高いと思います。


日本がテロ特措法でごたつきインド洋から給油艦を撤退させようとしている最中、テロ対策の前線基地として国土を提供しているパキスタンでは、国際的テロリストの温床であったパキスタンを国際協調路線に転換させたムシャラフ首相の支持率が低下してます。
パキスタン:大統領の支持率、ビンラディン容疑者より低い” 東・ロシア:MSN毎日インタラクティブ

 【ニューデリー栗田慎一】パキスタンのムシャラフ大統領は、国際テロ組織アルカイダのビンラディン容疑者よりも支持率が低い” 。米国の非営利組織「テロ・フリー・トゥモロー」(本部・ワシントン)がパキスタン国内で行った世論調査で、こんな結果が浮かび上がった。同容疑者はパキスタンとアフガニスタンの国境地帯に潜伏しているとの見方が強いが、同組織は「ビンラディン容疑者が見つからない理由を説明しているかもしれない」としている。

パルヴェーズ・ムシャラフ – Wikipedia
このパキスタンは核保有国ですので、ここがテロ原理主義政権に戻った場合中東各国どころかテロ組織に核が拡散する危険性を孕んでいます。
現にサウジアラビアはパキスタンから核が拡散した場合北朝鮮から核とミサイルを購入すると公言しています。


全ての状況が中東の不安定化を示しています。
このような状況でのインド洋からの海上自衛隊撤退はパキスタンの政情不安を招き、結果更なる中東の不安定化を招くでしょう。
その結果原油高騰で済むのであれば万々歳、最悪の場合日本が中東を復旧不可能な核ドミノを発生させたという主犯とされる可能性すら否定できません。
そうなれば日本の国益は回復不能な致命的に毀損されます。


それにしてもこの国はどうなってるんでしょう。