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仕事が忙しいっつーか時間的余裕は無いけど結構楽しい仕事やってるんで更新が滞るのは勘弁な。という状況でちょっと書いてみた。

麻生内閣の景気対策に対してあまりにトンチンカンなのが増えてるように見えるので少し書いてみる。

麻生総理が発表した緊急経済対策の特に高速道路通行料金値下げと一人頭\12,000の給付金に対して、やれ在日外国人も含むやらバラマキやら事の本質を履き違えた批判がフロッ研でも出てきてて何だかなと。

何はさておき政策の中身の確認

やば韓~ドル崩壊が好調そうで羨ましい三つ子の赤字神こと三橋貴明氏のBLOGからまとめを拝借。

 翻って我が日本ですが、10月30日に麻生総理が「国民のための経済対策」として発表しました。日本メディアの報道を読むと、フィルターが掛かってしまいますので、麻生総理の記者会見に関する首相官邸の原文にリンクを貼っておきます。大して長くないので、お時間のある方は是非ご覧下さい。

http://www.kantei.go.jp/jp/asospeech/2008/10/30kaiken.html

 麻生総理の発表の要旨を整理すると、以下の通りとなっています。

1. 国内対策
 (1) 定額減税:全所帯対象で、規模は約2兆円。4人家族で約六万円。また、雇用保険料の引き下げにより、労働者の手取り増加
 (2) 中小企業・金融対策
  (2)-1 中小企業対策:緊急信用保証枠を20兆円、政府系金融機関の緊急融資枠を10兆円
  (2)-2 金融対策:金融機関への資本参加枠拡大。配当課税への軽減税率延長
 (3) 地方対策:高速道路料金大幅引き下げ。休日はどこまで行っても一律1,000円に。平日は昼間も三割引。更に道路特定財源について、1兆円を一般財源化し地方に移す。
 ※この後、消費税に関する発言。「大胆な行政改革を行った後、経済状況を見た上で、3年後に消費税の引き上げをお願いしたいと考えております。 」

景気対策、多種多様

給付金はこのうち1-(1)定額減税の部分。
時間が許すなら赤字神の記事とそこからリンクしている官邸の記事も目を通しておくと尚よし。

現在の日本てのは結局のところどうなのよ

リーマンショック以降の日本経済はアメリカ経済の煽りを受けて急激な円高や株価の急落などで不安定な様相を示してきたのは間違いない。
ただそれは米企業の10月決算に向けた資金確保のための日本株売りと、下降感に釣られたパニック売りの様相が強く実体経済に基づいた株式評価の上下とは理解しづらい。
事実ドル建ての日経平均株価は他国株式の下落具合と比べれば多少マシな水準に収まっている。

しかしながらここ10年以上世界的好況のけん引役であり一大需要国の立場を担ってきたアメリカの不況は日本企業、特に外需に依存している輸出企業にとって決してプラスにある状況ではない。

その意味においては日本の景気も明るい未来ばかりではなくリーマンブラザーズの暗い影が掛かっているとも言える。
ドル建て株価の下落要因もこのあたりにあると考えるのが妥当な判断ではないかと。

ただ、そうであったとしても他国のように資金を抑える金融業界、特に銀行系の不安から下落していない事の意味は大きい。

バブル崩壊以降の日本が経験したように金融に不安がおきると、銀行は自己保全のため貸しはがしや貸し渋りなどを行い、結果優良な企業であっても運転資金が枯渇することにより黒字倒産などが発生し、淘汰される必要の無い(淘汰されるべきではない)企業までが倒産し、結果として実体経済に深刻な影響を及ぼしそれが更に金融業界の猜疑心を煽る悪影響を及ぼす負のスパイラルに陥る。

ここで重要なのは「金融が不安に苛まれると実体経済を引きずり下降する」という点だ。

幸か不幸か日本の金融界はバブル経済の二の舞を避けるため、融資/投資に慎重な姿勢を貫いて来たためサブプライム以降の金融商品への投資額は他国に比して極めて少ないレベル*1で収まっている。
言い換えれば日本の金融機関は世界でも稀有なほど健全な状態を未だ保持し続けているとも言える。

でも輸出企業は危ないんでしょ。結局日本\(^o^)/オワタって事じゃね?

輸出企業は確かに海外への輸出で利益を積み上げてきた点は否定しません。
しかしながら日本全体で見ればGDPに対する輸出依存率はわずか16% に過ぎず、過去のオイルショックや円高ショックの頃に比べて影響は極めて限定的です。さらにこの中には精製原油や工作機械などに代表されるように不況でも削減はされども全廃は難しいものが含まれていますので0になることは極めて考えにくい状況です。 *2 *3

さらに日本には1500兆円にも及ぶ預金資産や世界第二位の経済規模に裏打ちされた内需があります。
先の赤字神のBLOGの記事にもあるように、内需さえ喚起されれば輸出企業の多くも減益はすれども健全な状態でこの世界的な不況を耐え切るだけの下地がこの日本にはあります。

で、麻生内閣の経済政策ってのはどうなのよ

結論から先に言えばこの状況でできる最良に近い策だと思います。

まず、今回の不況 正しくは不況感というべきだと思いますが、リーマンショック以降なんとなく景気が後退しそうだという観測から皆が皆サイフの紐を締めつつある状況で少しづつ実体経済に影響を及ぼしつつあるという現状の中で、前節で述べたように内需を拡大するにはどうするかという事が喫緊の課題だと思います。

その中で麻生内閣は

  1. 「現金還付方式での」定額減税
  2. 週末ETC着用車限定での高速道路利用料金大幅値下げ を発表しました。

これらはねじれ国会という現状を見ても素晴らしい妙手じゃないかと。

現金還付方式での定額減税

ニュースなどで先に述べられていた定額減税ではなく現金支給式の還付にしたのは大きな意味があると思います。

1つは税免除方式による減税だと減税措置の廃止時に「増税感」を喚起してしまう点。
55年体制での社会党以下の単なる反対党でしかない民主党は減税時には「バラマキ」減税措置廃止時には「増税」として反政府キャンペーンを張るでしょうから国民に取ってはメリットが変わらずに自民党にとってのデメリットが多すぎる。

自民党のメリットはさて置いたとして、もう1つが「現金として給付されるとサイフが緩みやすい」という効果が大きいでしょう。
サラリーマンであれば給与振込みが一般的でしょうから定額減税の減税分は給与明細の所得税額に現れますが、それは銀行口座の中だけの話でそれほど大きな「お得感」というよりも「少し残業代が多く入ったかな」程度の効果にしかならないと思います。

しかし、現金給付方式であれば財布の中に確実に最低1万2千円が増えることになります。
財布の中の現金が1万2千円増えれば昼コンビニ弁当だけで済ましていた人がカップ味噌汁を増やしたり少しづつ+αの消費を喚起することになります。

もちろんそのまま貯金に回す人もいるでしょうが、それはそれで銀行の資金を増やすことになるわけで、結果貸しはがしの軽減や融資の増加などの効果をもたらすことが期待できます。

それ以上に1万2千円という金額の絶妙さは、「マッサージチェアを買いたいけどちょっと高い」や「新しいパソコンが欲しいけどまだちょっと高い」のような「あとちょっと」の部分に働きかけるとこだと思います。*4
これにより政府が投資した1万2千円が20万円のマッサージチェアになったり12万円のパソコンになったりと政府投資額以上の市場の活性化をもたらします。

この+αの消費こそが今の日本に必要とされているものです。
+α分は個人の資産に応じて拠出されるものですので一部の人たちに給付するのではなく、広く多くの人々に配布することこそ真の意味があるのです。
所得制限をして給付された1億人の国民が+αで1万円拠出しても1兆2千億+1兆で2兆2千億円ですが、仮に富裕層や在日外国人を含めた1億5千万人が+αで1万円拠出すれば1兆7千5百億+1兆5千億で3兆2千億円超の金が動く事の意味をちゃんと理解する必要があるでしょう。

(ETC着用車)自家用車週末高速道路一律1000円

この政策は驚くことに一石三鳥の効果を狙っています。

まず1点、前述の現金還付定額減税と共に国内観光需要を引き出し、そのことによって地方への資金流動を喚起している点。
4人家族であれば6万円の還付が得られ、さらに高速道路がどこまで乗っても1000円であれば「家族で旅行に行こう」と考える家庭が増えるのは間違いありません。
観光に行くとなれば道中含め食費がかかりますし泊りがけなら宿泊費も出ます。お土産も買うでしょう。ひょっとしたら旅行の記録のためにデジカメなんかも買うかも知れません。何より旅行をしたことによって楽しい思い出が出来なんとなく明るくなるでしょう。
その明るさこそが明日を生きる活力になります。その活力こそが不況下で一番必要となる原資になります。

次にETC装着に限定したことでETCに関わる業種に特需が発生します。
ETCが付いていることでこれだけの割引が得られるとなればこの期にETCを取り付ける自家用車が増えることは容易に想像でき、その事で交通の効率化や渋滞の軽減*5することまでも想像できるでしょう。
ETC機器を取り付けるとなればETC機器の製造業は元より、市井のオートバックスのような自動車用品店にもその流れはできることで広く市場の好景気感を喚起できます。

さらに自家用車でかつ週末に限定したことで、運送業者に対する値下げ圧力*6を緩和することだけならず、一般車両が遠距離移動することでガソリン需要を喚起することで、(原油価格が高かった頃の貯蔵原油を早い段階で消費することによる)燃料価格の下落に拍車をかけることが出来るため、結果として運送業者の支出の削減という2重の保護政策になっています。

結局のところどうなのよ

さすが元麻生グループの経営者としか言いようの無い見事な策じゃないかと。

自民党のバラマキだとか選挙対策だとかケチくせぇ事言ってないで貰えるもんは貰って欲しかったものに、無ければ酒代でも食費でもパーッと使えと。
それが回りまわって自分の為だし何の役にも立たなくても飲んだ酒がなくなるわけでもねぇだろと。

ぶっちゃけ

酷使様は着実に無能な味方になってきてるよなーと。
この有事に自己のイデオロギーを抑えてでも危機に対処せんで民主党を批判できるのかと。


*1 農林中金など一部で危険な金融機関はあるものの
*2 http://blogs.yahoo.co.jp/takaakimitsuhashi/3559183.html
*3 アメリカや韓国等に日本が輸入した原油を精製したものを輸出している
*4 これが2万円だと2万円以下で買えるものに流れ、8千円だと飲み代に消えるような絶妙な額なんじゃないかと個人的には思います。
*5 その効果が一部懐疑的であったとしても
*6 高速料金が値下げになったんだから運送費下げろ的な

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Last-modified: 2008-11-11 (火) 00:07:10 (5653d)