本日は第21回参議院議員選挙の公示日です。
参議院議員選挙は非拘束名簿式比例代表制ですのでそのおさらいから。

でも、非拘束式比例代表制ってなんでしょう。簡単にいうと、政党内の当選順序を候補者個人の得票数で決め、候補者同士もっと競わせようとするものです。ところが、個人名の投票もその所属政党に投票したことになるので、国民に人気がなく苦戦が予想される政党が候補者個人の人気に頼って得票数を増やすことになる側面があるのです。
よくわかる非拘束名簿式比例代表制

リンク先が非常に分かりやすくまとまってますので一読をおすすめします。
さて、今日の選挙模様は

  1. 参院選公示
  2. 各党のマニフェスト出揃う
  3. 赤城農林水産大臣の事務所費問題に関する所感

あたりで。
まだ初日なのでそこまで動きは大きくないな。

参院選公示

GoogleNewsの先頭に来てたロイター配信の朝日記事から。
asahi.com:参院選スタート、与党の過半数維持が焦点 – ロイターニュース – ビジネス

2007年07月12日09時24分
[東京 12日 ロイター] 第21回参院選は12日公示され、29日の投開票に向けた選挙戦が始まった。安倍晋三内閣を支える自民、公明の連立与党が参院での過半数を維持できるかどうかが最大の焦点。
 ただ、年金記録漏れや「政治とカネ」の問題などで民主党はじめ野党各党が政府・与党への攻勢を強めており、結果によっては安倍首相の進退にも波及する可能性がある今年最大の政治決戦の場となっている。
 この参院選を大きなイベントとして待ち受けている金融マーケットでは、与党の大敗で安倍首相の退陣要求が高まれば、政局不安から株安に直面するとの見通しが出ている。株安は円キャリートレードの巻き戻しの思惑を生んで為替が円高に振れる可能性を指摘する声もあり、結果判明まで東京市場に様子見気分が強まる展開も予想されている。

世論の流れからすると今回の焦点は

  • 年金
  • 政治と金

あたりになるのか。
個人的な注目点は「安倍政権9ヶ月の実績を有権者がどう評価するか」だな。
この記事で面白いのは経済界は「与野党逆転すると株価の停滞と経済の冷え込みが起こる」と思っているかのような反応をしている点か。

 <選挙後の政局不透明感増し、市場にリスク回避の動き>
 今回の参院選の改選議席数は121議席(選挙区73、比例48)。与党の非改選議席数は58議席で、過半数の維持には64議席以上が必要になる。堅い組織票が定評の公明党が目標の13議席を獲得すると仮定した場合、自民党は51議席の獲得が過半数へのバーになる。ただ、野党議員の中には、与党との連携を視野に入れている勢力もあり、過半数ラインは変動する余地がある。
 公示を前に今回の参院選では、年金の記録漏れ問題が最大の争点に浮上。安倍政権発足わずか9カ月で政治とカネの問題や失言で3閣僚が交代する事態となった。
 郵政解散から与党の地滑り的大勝に終わった小泉純一郎政権時の2005年9月の衆院選とは、様変わりの政治状況となっている。
 選挙結果とその後の政権運営に対する不透明感が広がる中で、金融マーケットでは「来週以降投資家は、リスク回避のポジション調整に動く可能性がある」(三菱UFJ証券・シニア投資ストラテジストの吉越昭二氏)との見方が出ており、参院選をリスク要因として意識し始めた。

どこにリスクを感じているかは各党のマニフェストを紐解けば見えてくると思うので、現時点の言及は避けておこう。

 <自民党内で意識される44議席>
 29日の投開票をにらみ、市場では与党の獲得議席数と安倍政権への影響、選挙結果を受けたマーケットの反応に対する思惑が早くも交錯している。最近の安倍内閣の支持率低下が多くの報道機関で伝えられ、金融マーケットでは、すでに与党の過半数割れを織り込み始めているとの声が広がっている。
 仮に与党が過半数割れとなった場合でも、一部の野党勢力を取り込んで与党が参院で多数派を維持できるケースと、自民党が大幅に議席を減らして、安倍首相が1998年の橋本龍太郎首相のように参院選敗北で辞任に追い込まれる事態まで、様々な展開が考えられる。
 複数の与党関係者の話しによると、98年参院選で自民党が獲得した44議席が、安倍首相の退陣につながる責任ラインとして意識されているという。自民党単独で45議席に届かなければ、政局になるとの見方だ。
 <首相退陣なら株安、為替は円キャリー動向がポイント>
 市場では、首相退陣の思惑が浮上した場合、「一時的にトリプル安」(外資系証券)との指摘や「短期的に株は売りで反応。債券は8月の金融政策変更が微妙になるとの思惑から買われる」(大和証券SMBC・チーフストラテジストの末澤豪謙氏)と株安を見込む声が多い。
 一部には「安倍首相が退陣しても、自民党政権が続くのであれば、株式市場はすでに与党敗北を織り込んでおり、株安にはならない」(外資系証券の関係者)との見方も出ているが、「安倍首相の後任がすぐに絞り込まれない場合には、政局不安から株安が大幅に進むリスクもある」(国内証券の関係者)との懸念も浮上している。
 為替については「単純に日本売りの発想で円が売られる可能性は確かにある。一方、株価が崩れると円キャリーの巻き戻し観測から、逆に円買いになるとの見方もできる」(三井住友銀行・市場営業部副部長の小池正道氏)と、円キャリー取引の動向がポイントになりそうだ。
 与党が過半数を獲得した場合は、政権安定と上げ潮政策の継続で株高との見方でほぼ一致している。ただ、債券市場では、株高を受けて債券売りとの見方がある一方で、日銀に対する緩和圧力継続で債券買いに反応するとの指摘もある。
 安倍首相退陣の場合の金融政策への影響については「上げ潮路線の後退が、日銀の金利正常化路線をサポートする。福井俊彦・日銀総裁の後任に竹中平蔵氏(前総務相)などの起用も難しくなる」(大和SMBCの末澤氏)との声もあるが、国民新党との連携や自民党の保守的なメンバーの台頭なども想定され、緩和圧力が弱まることはないとの観測も出ている。

円キャリー巻き戻しが起こると途上国に流れ込んだ資金によって発生したバブルが資金引き上げによって一気に崩壊する恐れがあるため、世界同時株安や通貨危機まで引き起こしかねない。
そういう点において今回の選挙ってのはかなり重要な選挙だと認識しておこう。

各党のマニフェスト出揃う

今日からこれらを一つ一つ読み解いてみようかと。

赤城農林水産大臣の事務所費問題に関する所感

「赤城氏、領収書公開必要ない」 首相、法改正に否定的
2007年07月09日12時08分
 安倍首相は9日午前、朝日新聞社などのインタビューに応じ、赤城農林水産相が事務所費問題の疑問を解くために領収書などを公開する必要性はないとの考えを明らかにし、領収書の写しの添付を資金管理団体だけに義務づけている政治資金規正法の再改正についても否定的な姿勢を示した。消費税率の引き上げについては、今回の参院選ではなく、次の総選挙の争点にすると表明。参院選の責任ラインを示す考えはないことを明らかにした。
asahi.com:「赤城氏、領収書公開必要ない」 首相、法改正に否定的 – 政治

この件に関しては松岡前農相の例よりも伊吹文明文科相の例のが近い。
その伊吹大臣に関して、大臣本人が衆院予算委員会の場においてパーフェクトな答弁をしておりそれ以降民主党の追求が止んだという事情があります。

伊吹氏 率直に言って、私はなぜ疑惑とか不適切とか私の事務所費について言われるのか今も疑念を持っている。小川さんの質問に答えることで、このことが各党の政治家の活動を不公平に公表することになったり、選挙に大変な影響を与えていることが国民に分かる。説明するが、私の政治団体は5万円未満のものも領収書聴取義務ないが、基本的にすべてとっている。ない場合も、領収書等とあるが、払い出し伝票、だれにいつどう出したか、香典3万円持って行って領収書出せとは言えない、こういうことも誰が誰に払い出したかを全部とっている。
まずこういう紙が先生の所にもきている。18年度の収支報告書。事務所の借料、もろもろ。私は人件費も入っている。人件費は政治団体職員に支払われる給与、報酬など。土日にほとんど帰れないときに、車を運転する人を休ませるほど余裕ない。外回りの秘書が帰ってきたときに運転させる余裕もない。非常勤を雇うことはよくある。選挙の準備活動で、きちっと政治活動をしなければならない。11万の名簿整えチェックする。この人件費は経常経費の人件費では読みとれない。どこに入るか自治省に聞いてここに入れている。コピーはリースなので購入費に入らない。交際費も入れて、法違反だと言う幹部もいるが、他団体との交際に要する費用は、ここに入っている。東京の秘書が地元に来たって回る。それも他団体との交渉ではない。だからここに入っている。そういうのを積み上げてこうなっている。東京と京都に明風会という私名義の2つの事務所。賃料積み上げるとこうなる。通信費も11万人に年2回新聞出している。組織活動費に入れろと言うから、入れている。毎年3万5000人にハガキを出しているが、組織活動費に入れている。小川委員が参考にしたいから経理を見せてくれと言えば、いつでも見せる。
 ただ、どうしてこれが始まったか。1月2日の赤旗で、事務所が議員会館でタダだとずらーっと出た。鳩山幹事長が言うのは正しい。一種のレトリックだと。いつでも見せるが、量が多いなら公表するというなら、某党の幹部は10いくつ団体持っている。事務所費全部足して多いか少ないか論じて。自民・小野次郎議員が質問したように、共産党は資金管理団体、政党支部を持っていない。政党の本部と支部でやっている。私は共産が強い京都だからよく知っている。1億数千万円ある。私は注意深く答弁している。すべての政党が公表するならば、喜んで従う。そうでないと、その人の選挙準備活動を、だれかが批判したら白日のもとにさらされる。だけど疑惑がだれが判定するのか。国会で判定しないと。
 法にのっとって積み上げているから、ここで細かに、資金管理団体の事務所費が多いからと言って公表すると、政敵を追い落とすトリックはいくらででもきる。
事務所費・民主党は伊吹氏の説明に納得!?:イザ!

この問題は「政治家であれば理解できる内容であっても大げさに騒ぎ立てる事で政敵を追い落とす事ができる」と言った類いのレトリックを用いた政争の具でしかないってのが良くわかると思う。
そもそも政治と金というカテゴリーにすら入らないようなものだろう。
これについて麻生外務大臣が述べたコメントが本質を物語っている
外務省: 外務大臣会見記録(平成19年7月)

(問)赤城農林水産大臣の事務所費問題ですが、色々と今、話が出ていますが、赤城大臣と総理は説明責任を十分果たされているとお考えでしょうか。
(外務大臣)それは直接聞いたことがないから知りませんが、彼は、正確な記憶ではないけど、選挙区を移ったでしょう。昔の選挙区で言えば水戸だから、今は茨城1区に変わったのかな。お爺さんの代からやっているのだから、あの世代でやっていれば間違いなく自宅は選挙事務所になります。例外なく、ほとんどそうです、昔だから。それが1区に移ったものだから、当然、主力は1区に移った。自宅を選挙事務所から外そうとすると地元が絶対納得しないから、これはどこでもある話で、ここに置いておけという話になったのが、多分、背景でしょう。私は父との間に24、5年空いているので、その種の背景はなかったのですが、そういう人は多いと思いますよ。昔からやっている人ほど多い。だから、その事務所経費と水戸の事務所と、全部突っ込みでやっているという話ではないかと思っています。
 従って、その点に関して言わせてもらうと、政治資金規正法上、一括計上しているというのは、違法性はないということではないかという感じがします。そういった意味では、どこに問題点があるかは説明する、ということなのであって、いかにも違法性があるかの如き発表になっているから、わんわんなっているけれども、これは違法性があるかねと私は思っていました。詳しく知っている訳ではありませんが、その点については、きちんと説明しないといけない。それが十分かといえば、どこまでいったら十分かというのは、聞いた個人の感情、気分の話ですから、なかなか難しいとは思います。ただ、色々と丁寧に説明を何回も繰り返しやっていく必要はあるかなと思います。
(問)野党側からは、例えば、政治団体の領収書を添付して公表すべきだとか、改正政治資金規正法が成立しましたが、更にまた改正すべきだという声も出ているようです。その点については如何でしょうか。
(外務大臣)政治家に関係なく、いわゆる一般有権者のやっている政治団体というのは沢山あります。その政治団体に対して、領収書の添付を求めるということだと思いますが、究極的には「結社の自由」という、憲法で保障されている国民の権利と、いわゆる政治家とか政治団体による政治資金の使い道というものの範囲、監視といったことの、どちらを優先させるのかという話になるのだと思います。それからいくと、私は、やはり国民の権利の方が尊重されるべきではないのかと思います。これが随分論議された経緯を知らない訳ではありませんが、最終的には合意された話だったと思います。それで5万円以下という話が出ていたので、そういった話に基づいて出来上がったばかりですから、当分の間、そのルールに基づいてやっていくということではないでしょうか。
(問)この問題は、何か参院選に影響があるとお考えでしょうか。
(外務大臣)政治と金の話になりますので、関心は高いと思います。そういった意味では、何らかの影響は、何もないとは思いませんけど、どうでしょうね。年金の話その他、色々ありますし、小泉さんにも出来なかった教育基本法の改正などは出来ています。これこそ、「今国会は教育国会だ」とわんわん言っていたのが、何となくスッと通ったら途端に関心がなくなったなんて話は、おかしいのではないでしょうか。国民は、もめれば関心がある、スッと通ったら関心がない、なんてことはないですよ。
 従って、始まる前には政治の関心が、あれだけ教育の話等に行っていたのだから、その結果、成果を聞いてもらいたいと思います。私は文科大臣や総理大臣ではありませんが、そんな感じはします。ただ、この問題に関して、私はそんなに参院選に影響が出るとは思いません。説明をきちんと丁寧に繰り返していけば、理解を得られるのではないかと思います。

これ以上の解説は必要無いんじゃないかと。


さて、明日から各政党のマニフェストに入っていきます。