東京都葛飾区のマンションに04年12月、政党ビラをまくために立ち入ったことで住居侵入罪で起訴された被告の住職荒川庸生(ようせい)さん(58)に対し、東京地裁は28日、無罪(求刑・罰金10万円)を言い渡した。大島隆明裁判長は近年の住民のプライバシー、防犯意識の高まりに触れつつ「ドアポストまで短時間立ち入っての配布が、明らかに許されないという合意が社会的に成立しているとはいえない」と判断。荒川さんの立ち入りには「正当な理由がある」として住居侵入罪の構成要件を満たしていないとした。
asahi.com:マンションへの政党ビラまき、被告に無罪判決 東京地裁??-??社会

うーん。なんかすっきりしない判決だ。

判決はまず、「どんな時に立ち入りが許されるかは、社会通念を基準に、立ち入りの目的・態様に照らし、法秩序全体の見地からみて社会通念上、許される行為といえるか否かで判断するほかない」との判断枠組みを示した。
 そのうえで「立ち入りの滞在時間はせいぜい7、8分」と短時間だったことを重視。さらに、▽このマンションではピザのチラシも投函(とうかん)されているが、投函業者が逮捕されたという報道もない▽40年以上政治ビラを投函している荒川さんも立ち入りをとがめられたことはない――と指摘。「現時点で、ドアポストに配布する目的で昼間に短時間マンションに立ち入ることが、明らかに許されない行為だとする社会的な合意がまだ確立しているとはいえない」と述べた。
 判決は、明確な「立ち入り禁止」の警告に従わずに立ち入れば住居侵入罪にあたるとしたが、このマンション玄関の張り紙では、「明確な立ち入り禁止の意思表示がされていない」と指摘し、立ち入りに正当な理由があると結論づけた。

結局のところこのマンションの張り紙がどんなんか見ないとわからんつー話になっちゃうわけですが、的確か(十分か)どうかはさておきマンション住民が「立ち入り禁止」と意思表示をしている以上それを超えてまでビラ配布することは少なくとも倫理上褒められた事では無いんじゃないかなぁと思うわけです。
この訴訟の原告団らしきビラ配布の自由を守る会を見てみると中々不思議な主張がなされていて、

主任弁護人 中村欧介
「しっかりと相手に届けたい」という思いでマンションのドアポストに配布物を入れると、住民が現行犯逮捕する。その後警察に通報され、逮捕勾留された挙げ句に「被告人」として裁判を受けることを余儀なくされる。このような裁判が許される社会を我々は受け容れることなどできません。
「起訴自体が許されるものではなく、即刻裁判手続を打ち切るべきである!」

と、なんつーか「善意で行ったビラ撒きに逮捕、起訴という強権で挑むとは何事だ」みたいな感じに読み取れて非常に何だかなぁと思うわけです。そりゃ善意の押し付けっつーんじゃないのかね?みたいな。
まぁ他方ピザ屋のチラシは逮捕されるではなくどっちかっつーと容認されてるのは公平さを欠くっつー話もうなずけないわけではないですけど、「ビラ配布の自由」とやらを表現の自由に含めちまうっつーのは流石に行き過ぎな感がもりもりと。ポストにビラを投入することが表現か?っつー話になれば流石にそりゃ違うだろとしか言いようが無いと思いませんか。
思いませんか。そうですか。
逆にポストにビラが入っててもさくっと捨てればいいじゃんとも思うわけで、わざわざ逮捕告訴までするようなもんかなぁと感じなくもない。
ただ、結局のところ「立ち入り禁止」ってなってるとこにわざわざ立ち入ってビラを投下してくようなマネはあんまり褒められた行為じゃないっつーのは確かなわけで、誇らしげに「無罪」とか「勝利」とか大喜びしちゃうのはあんまり格好の良いことじゃないよなぁ。と思う次第であります。

続報きてた

「みなさんと戦いとった無罪判決です」。判決言い渡しの後、大勢の支持者らが待ち受ける東京地裁前に、両拳を高々と突き上げて現れた被告の住職、荒川庸生さん(58)には笑みがあふれていた。
判決後、記者会見に臨んだ荒川さんは「市民感覚に沿って判断してほしいと法廷で訴えてきた。裁判長には敬意を表したい。検察には、これ以上、言論・表現の自由、知る権利を犯罪化しておとしめることはやめてほしい」と語った。
asahi.com:被告の男性「表現の自由通じた」 ビラ配布無罪判決??-??社会

あんまり格好の良いことじゃないよなぁ。
つか坊主かよ