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履歴:
4/5 20:15 目次から分離
4/5 20:15 目次から分離したことに付随し表記法変更
4/5 20:15 BI@Kさんの指摘を取り込み


人権委員会

1人権委員会の組織(第八条)の変更
現案「人権委員会は、委員長及び委員四人をもって組織する。」
修正案「人権委員会は委員長および委員14名で構成する。」
(4/5記述方法を変更)

現在の法案では、人権委員会は委員長含め5名で構成されるとされています。
しかし、人権という広範なものを審査する機関の委員として充分な多様性を確保するのに5人という人数はさすがに少なすぎる気がします。
ということで15名を定員としてみました。
これで適当であるかまたは過多、過小であるかの論議を重ねる必要はありますが、まずはたたき台ということで。
4/5追記
第二項の非常勤規定には触れてませんが、半数ほど非常勤でも問題は無い気もします。というか「常勤の人権委員になれる人」がどれほどいるかによって変わるところかと。
(想像上)激務になろう委員は原則 常勤のがいいと思いますが、非常勤規定を入れなければ人材の確保に支障がでたり、後で触れる充分な多様性が確保できないのであれば非常勤であっても致し方ないと。
この辺は実態もわからなければ想像もできないのであえて放置してます。


2.第九条の修正
現案「委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者あって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。」
修正案「委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のある国民のうちから充分な多様性をもって、両議院の2/3以上の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。
補足:両議院の同意の議決において議員の欠席または棄権の場合信任に投票されたとする。」

4/5:BI@Kさんの指摘をうけ修正
(1)2/3規定の削除と条文の整理
修正案「委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する日本国民であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命する。
補足:両議院の同意の議決において議員の欠席または棄権の場合信任に投票されたとする。
2 前項の任命に当たっては、次の各号に掲げる基準に適合するよう努めるものとする。
 一 男女のいずれか一方の数が7名未満とならないこと。
 二 人種等(性別を除く。)の属性のいずれにも偏るものでないこと。

(2)第三項に上の第ニ項準用の規定を追加
修正案「縲恣ッ項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。この場合においては、前項の規定を準用する。」

これで人権委員の任命に憲法改正並の厳密性が担保されます。
これは与党単独による任命を阻止することを狙っています。
法曹各人の言われるような、委員を任せるにふさわしい人物であれば特に問題もなく信任されるであろう事が予想できますので、さほどデメリットも無いと思います。

補足の「棄権を信任とみなす」という部分が合憲かは追って確認します。(4/5:いけてそう)
3/24 追記:
強制力の有無に関わらず、国家としての人権方針を決定する機関である人権委員会に外国人が含めなければならない言われはありませんので、国籍を人権委員の必須条件に加えます。(*2
4/5 追記:
多様性の確保の部分をBI@Kさんに書き直していただきましたので、これを拝借します。
2/3規定は憲法第56条2項(*3)に違反しているとの指摘をBI@Kさんより受けました。
_| ̄|○
これは困った。
与党単独での決議を防ぐことで、恣意的な人権委員の任命を阻止するのがこの修正案の大きな狙いの一つだったのでこれは痛すぎます。
うーん。どうしよ。


3.人権委員会の所属を法務省から内閣府に移動
現案「2 人権委員会は、法務大臣の所轄に属する。」
修正案「2 人権委員会は、内閣総理大臣の所轄に属する。」
4/5追加:
上記変更にあわせ第一項の元になる規定も変更 (BI@Kさんの指摘より)
現案「国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第三条第二項の規定に縲怐v
修正案「内閣府設置法(平成11年法律第89号)第49条第3項の規定に縲怐v

現状問題視されている入国管理局における人権侵害などから一定の独立性を担保する狙いです。
これによってパリ原則に則すると言えるのかはともかく、現案よりマシでしょう。
(;:´_ゝ`) 事務方どこから連れてこよう・・・。
追記3/25 たぶん総務省。

追記4/5
現行の法務省人権擁護局からのスライドが現実的とのこと。
確かにそりゃそうだなぁ。


4.(所掌事務)第六条ニ項の修正
現案「人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援に関すること。」
修正案「人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援、および誤った人権啓発等の訂正に関すること。」
4/5修正
BI@Kさんの指摘で文言変更
修正案「人権啓発並びに民間における人権擁護運動の支援及びその適正の確保に関すること。」

人権を曲解(誤解)し、正しい人権啓発活動の妨げとなるような「民間における人権擁護運動」に対し指導することを明確化する。
これはこういった件に対し人権委員会が指導を行うべきだということです。
ある件に対して「それは人権侵害だから止めなさい」という事と「あなたの言っている人権は間違えているから改めなさい」ということは等しく必要だという主張からこれを加えました。(*1)


5.委員の罷免に関して、第三者の意見を吸い上げる機構の追加。

でも、人権擁護推進法を拡張して人権擁護推進審議会をこの決議をする機関とすると独立性が微妙になっちゃうし。
うーん。
ちょっと微妙な部分。
4/5 追記
罷免に関する部分としてこれを破棄し8番と統合する。


6.人権侵害の決議(第十四条)についてもう1段階の手順を追加、決議保留の追加
現案「
人権委員会の会議は、委員長が招集する。
2 人権委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 人権委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。」
修正案「
人権委員会の会議は、委員または委員長の発議により委員長が招集する。
2 人権委員会は、委員長及び四人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 人権委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、公聴会を開きこれを重視した上で委員長の決するところによる。
(4/1追記)
4 出席した委員の2割以上の保留があった場合第四十一条四項(関係行政機関への通告)、第三款(勧告および公表)を行うことはできない。

4/5 BI@Kさんの指摘から変更
修正案「人権委員会の会議は、委員長が招集する。委員から委員会の招集の請求があるときは、委員長は、これを招集しなければならない。
2 人権委員会は、委員長及び7人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 人権委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、公聴会を開きこれを重視した上で委員長の決するところによる。
4 出席した委員の2割以上の保留があった場合第四十一条四項(関係行政機関への通告)、第三款(勧告および公表)を行うことはできない。

第一項に関しては、人権委員に発議権があるかわからなかったので明文化。
暗黙のうちに発議権が認められているならあえて書く必要もなさそう。
第二項は、修正案1で委員を拡大しているのでここでも多様性の確保として5名に拡大。
第三項は議決の結果同数であった場合、委員長に一任されていたものを、公聴会から意見の吸い上げというプロセスを経ることでより公平な決議にすることを狙ったもの。
委員会で議決が分かれるぐらい微妙な案件に関してはこれぐらいの慎重さが求められてもいいと思う。
4/1追記
第四項はある程度の法的グレーゾーンに対する担保を狙い追加。
第三項の修正部分にも抵触するような微妙な案件に対して勧告などの発動に制限を設けておきたいことから。
4/5追記:
BI@Kさんの指摘に倣い第一項の文言を変更しました。
第二項の参加人数規定に関しては委員の半数が通例との事、これを反対する理由もありませんので7名としました。
第三項に関しては概ね同意ですが、このエントリでの4/1改正分のうち「保留」に関する説明が不十分であり、それが第四項にも大きく影響を及ぼすと考えられますので、現段階では導入を見送ります。
(保留に関する説明は別エントリで行います。)
4/6
決議の「保留」に関する補足


7.政府や関係行政機関の長に対する権限の拡大。
現案「第二十条 人権委員会は、内閣総理大臣若しくは関係行政機関の長に対し、又は内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見を提出することができる。」
修正案「第二十条 人権委員会は、内閣総理大臣若しくは関係行政機関の長に対し、又は内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し、意見および勧告を提出することができる。」
4/5 BI@Kさんの指摘を受け変更
修正案:「第二十条 人権委員会は、内閣総理大臣若しくは関係行政機関の長(以下この条において「関係各大臣等」という。)に対し、若しくは内閣総理大臣を経由して国会に対し、この法律の目的を達成するために必要な事項に関し意見を提出し、又は関係大臣等に対し、当該事項に関し勧告することができる。
2 人権委員会は、前項の規定による勧告をしたときは、遅滞なく、その勧告の内容を公表しなければならない。
3 関係各大臣等は、第1項の規定による勧告に基づき講じた施策について人権委員会に報告しなければならない」

パリ原則に則り勧告を追加。
4/5 BI@Kさんの指摘を受け変更
第一項は文言の変更
第ニ項、第三項たしかにその通りで勧告に対する応答義務はつけたほうが良さそうですので追加


3/25追記

8.罷免の特例として停職の追加
追加:
「第十三条一項の服務規定(守秘義務)に反し、それが訴えられてから第八十七条の処分が確定するまでの間、人事委員会の委員または委員長としての職務を行ってはならない。」
4/5 5番と統合
「委員の罷免に関して、第三者の意見を吸い上げる機構の追加」
4/5 BI@Kさんの試案から拝借
修正案「
2 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前項第2号ロ(筆者注:委員の義務、服務規程違反)に該当すると認める場合においては、両議員の同意を得て、これを罷免する議決を人権委員会に求めることができる。この場合においては、人権委員会は、当該求めに応じて委員長又は委員の罷免の可否を議決するまでの間は、当該議決以外の議決をしてはならない。
3 第87条の罪につき訴追されている委員長若しくは委員又はその罪を犯した疑いにより逮捕状、勾引状、勾留状若しくは鑑定留置状が発せられている旨が関係機関から人権委員会に通報されている委員長若しくは委員は、この法律に規定するその職務を停止するものとする。 」

服務規程違反で訴えられ処分が確定するまでのグレーな期間に職権を持たすのはどうよ?って事から追加。
4/5 BI@Kさんの試案から第二項、第三項を拝借しました。
第二項に関しては全面的に賛同します。特に罷免の議決まで、他の議決を停止は膝を打ちました。
第三項に関してはBI@Kさんの指摘の通り「推定無罪」との兼ね合いから、所謂「停職」ではない方が良いのかもしれません。
この条文自体が同法八十七条、および十三条一項によるところの所謂「守秘義務違反」に関するものであるので、公表されても差しさわりのない(=秘密性の低い、例えば第六条ニ項の人権啓発関連や、同条四項の国際協力関連)職務に限定するなどのほうが、元の懸案からすると良いような気がします。


*1
BI@Kさんによれば、

webmasterの考えとしては、和尚さんのご懸念もわかるのですが、そうした活動は「人権啓発」に含まれると思うので、規定の要否で言えば、なくても同じことが可能だと思います(引用者略)。
もちろん、確認的に規定するという趣旨で何の問題もありませんが。

とのことで、特に規定せずとも同じ結果となるようですが、あえて規定しておきたいと思います。
心情的には「人権委員会が見てみぬフリ」をすることを予防するために、人権委員会の義務にまでしたいところですが、組織のリソース的に無理がありそうな気もしますし、認知していたか否かの判断をつけることも現実的には不可能でしょうから現段階では「可能」というところに留めようと思います。
*2
いわゆる「当然の法理」として、国籍条項が無くても外国人を任命することはできないと解釈するべきで、ここの規定は確認規定の程度に留まるとのこと。
*3

日本国憲法
第4章 国 会
第56条 両議院は、各々その総議員の3分の1以上の出席がなければ、議事を開き、議決することができない。
2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。