過去最長のエントリ。
じっくり読んでみておくれ。
(3/19追記)このエントリには誤解を生む表現が含まれています。
詳細はスタンスのシフトおよび後続のエントリを参照してください。
まずはこの法案の概要から。
ソースは人権擁護法案全文より。
この法案の総則から

第二条 この法律において「人権侵害」とは、不当な差別、虐待その他の人権を侵害する行為をいう。
 (人権侵害等の禁止)
第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一 次に掲げる不当な差別的取扱い
 イ)国家、地方公務員など公務を行うものは、その行使において差別してはならない。
 ロ)対価を得て商売するものは、その相手を差別してはならない。
 ハ)事業者は労働者を差別してはならない。
二 次に掲げる不当な差別的言動等
 イ)特定の者に対し、その者の有する人種等の属性を理由としてする侮辱、嫌がらせその他の不当な差別的言動
 ロ)特定の者に対し、職務上の地位を利用し、その者の意に反してする性的な言動
2 何人も、次に掲げる行為をしてはならない。
 一 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをすることを助長し、又は誘発する目的で、当該不特定多数の者が当該属性を有することを容易に識別することを可能とする情報を文書の頒布、掲示その他これらに類する方法で公然と摘示する行為
 二 人種等の共通の属性を有する不特定多数の者に対して当該属性を理由として前項第一号に規定する不当な差別的取扱いをする意思を広告、掲示その他これらに類する方法で公然と表示する行為
(第一条0第二条)

つまりは、差別の名の下にどんな言論(第二条)でも差別によって不利益を蒙ったと申告(第三条)し、それに不当な差別の誘発の恐れがある(第四条)とすれば訴えを起こすことが可能であると。
そして、その正当性を検証する機関は次章からの人権委員会および、人権擁護委員だ。
この組織は5人の人権委員(常任2名、非常勤3名)と最大2万人からなる擁護委員で構成される。ここの記述が一番問題が多い

第二章 人権委員会
第六条 人権委員会は、前条第一項の任務を達成するため、次に掲げる事務をつかさどる。
 一 人権侵害による被害の救済及び予防に関すること。
 二 人権啓発及び民間における人権擁護運動の支援に関すること。
 三 人権擁護委員の委嘱、養成及び活動の充実に関すること。
 四 所掌事務に係る国際協力に関すること。
 五 前各号に掲げるもののほか、法律(法律に基づく命令を含む。)に基づき人権委員会に属させられた事務
 (職権行使の独立性)
第七条 人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。
第九条 委員長及び委員は、人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちから、両議院の同意を得て、内閣総理大臣が任命ずる。
2 前項の任命に当たっては、委員長及び委員のうち、男女のいずれか一方の数が二名未満とならないよう努めるものとする。
3 委員長又は委員の任期が満了し、又は欠員を生じた場合において、国会の閉会又は衆議院の解散のため両議院の同意を得ることができないときは、内閣総理大臣は、第一項の規定にかかわらず、同項に定める資格を有する者のうちから、委員長又は委員を任命することができる。
4 前項の場合においては、任命後最初の国会において両議院の事後の承認を得なければならない。
第十条 委員長及び委員の任期は、三年とする。ただし、補欠の委員長又は委員の任期は、前任者の残任期間とする
第十一条 委員長及び委員は、次の各号のいずれかに該当する場合を除いては、在任中、その意に反して罷免されることがない。
 一 禁 錮以上の刑に処せられたとき。
 二 人権委員会により、心身の故障のため職務の執行ができないと認められたとき、又は職務上の義務違反その他委員長若しくは委員たるに適しない非行があると認められたとき。
第十二条 内閣総理大臣は、委員長又は委員が前条各号のいずれかに該当するときは、その委員長又は委員を罷免しなければならない。
第十四条 人権委員会の会議は、委員長が招集する。
2 人権委員会は、委員長及び二人以上の委員の出席がなければ、会議を開き、議決をすることができない。
3 人権委員会の議事は、出席者の過半数でこれを決し、可否同数のときは、委員長の決するところによる。
4 人権委員会が第十一条第二号の規定による認定をするには、前項の規定にかかわらず、本人を除く全員の一致がなければならない。
5 委員長に事故がある場合の第二項の規定の適用については、常勤の委員は、委員長とみなす。
第十七条 人権委員会は、その職務を行うため必要があると認めるときは、公聴会を開いて、広く一般の意見を聴くことができる

関連する部分を抜粋した。人権委員会のあまりの強権がわかるだろう。
まず第七条において人権委員会はいかなる機関からも独立しているとされている。
つまり、上部組織の法務省を含む、司法、警察、立法、内閣などのすべての機関から独立し、如何なる制限、制約、干渉を受けないが補償されている。
さらに、委員はにおいて、両院の了承さえ取れれば、国籍を問わず任命されることができる。
人格が高潔で人権に関して高い識見を有する者であって、法律又は社会に関する学識経験のあるもののうちなどというものは任命したもの勝ちで、その内容が問われることは無い。
さらに恐るべきは
第十一条において任期期間内に弾劾、罷免されることがないとしている。
唯一罷免される可能性は、他の人権委員の満場一致が得られた時だけだ。これ以外の場合、たとえ任命者の内閣総理大臣であってもこれを罷免することは不可能。
つまり、2人の人権委員が結託するだけで絶対に罷免できないということだ。
更には、第十四条において、3人の人権委員が結託すれば、前章の規定に於いて如何なる者の如何なる言動に対しても人権の名の下に断罪することができ、更にはそれが正当化される。
たった3人でだ。
たった3人でこの国の表現の自由のすべてを牛耳れるわけだ。
その権力はあまりにも大きい。
その上、この委員は両議院の賛成さえあれば任命できることから、与党であればこのような体制は簡単に作れる。
これは決して妄想だけの話ではない。
賛成派の議員達は現実このようなことを目論んでいるはずだ。
このような体性が確立されるとどうなるか。
第四章に委員会の権利が記されている。

第四章 人権救済手続
第三十八条 何人も、人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれがあるときは、人権委員会に対し、その旨を申し出て、当該人権侵害による被害の救済又は予防を図るため適当な措置を講ずべきことを求めることができる。
2 人権委員会は、前項の申出があったときは、当該申出に係る人権侵害事件について、この法律の定めるところにより、遅滞なく必要な調査をし、適当な措置を講じなければならない。ただし、当該事件がその性質上これを行うのに適当でないと認めるとき、又は当該申出が行為の日(継続する行為にあっては、その終了した日)から一年を経過した事件に係るものであるときは、この限りでない。
3 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、職権で、この法律の定めるところにより、必要な調査をし、適当な措置を講ずることができる。
第二節 一般救済手続
 (一般調査)
第三十九条 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防に関する職務を行うため必要があると認めるときは、必要な調査をすることができる。この場合においては、人権委員会は、関係行政機関に対し、資料又は情報の提供、意見の表明、説明その他必要な協力を求めることができる。
2 人権委員会は、委員、事務局の職員又は人権擁護委員に、前項の調査を行わせることができる。
(一般救済)
第四十一条 人権委員会は、人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる措置を講ずることができる。
 一 人権侵害による被害を受け、又は受けるおそれのある者及びその関係者(第三号において「被害者等」という。)に対し、必要な助言、関係行政機関又は関係のある公私の団体への紹介、法律扶助に関するあっせんその他の援助をすること。
 二 人権侵害を行い、若しくは行うおそれのある者又はこれを助長し、若しくは誘発する行為をする者及びその関係者(次号において「加害者等」という。)に対し、当該行為に関する説示、人権尊重の理念に関する啓発その他の指導をすること。
 三 被害者等と加害者等との関係の調整をすること。
 四 関係行政機関に対し、人権侵害の事実を通告すること。
 五 犯罪に該当すると思料される人権侵害について告発をすること。
2 人権委員会は、委員、事務局の職員又は人権擁護委員に、前項第一号から第四号までに規定する措置を講じさせることができる。
第三節 特別救済手続
     第一款 通則
 (不当な差別、虐待等に対する救済措置)
第四十二条 人権委員会は、次に掲げる人権侵害については、前条第一項に規定する措置のほか、次款から第四款までの定めるところにより、必要な措置を講ずることができる。ただし、第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等については、第六十三条の規定による措置に限る。
一 第三条第一項第一号に規定する不当な差別的取扱い
 二 次に掲げる不当な差別的言動等
(略/概要:第三条に上げるもの )
 三 次に掲げる虐待
(略/概要:公務員によるものや福祉施設、親族、または老人や幼児などに対する虐待 )
 四 放送機関、新聞社、通信社その他の報道機関又は報道機関の報道若しくはその取材の業務に従事する者(次項において「報道機関等」という。)がする次に掲げる人権侵害
  (略/いわゆるメディア規制がこれ)
 五 前各号に規定する人権侵害に準ずる人権侵害であって、その被害者の置かれている状況等にかんがみ、当該被害者が自らその排除又は被害の回復のための適切な措置を執ることが困難であると認められるもの
第四十四条 人権委員会は、第四十二条第一項第一号から第三号までに規定する人権侵害(同項第一号中第三条第一項第一号ハに規定する不当な差別的取扱い及び第四十二条第一項第二号中労働者に対する職場における不当な差別的言動等を除く。)又は前条に規定する行為(以下この項において「当該人権侵害等」という。)に係る事件について必要な調査をするため、次に掲げる処分をすることができる。
 一 事件の関係者に出頭を求め、質問すること。
 二 当該人権侵害等に関係のある文書その他の物件の所持人に対し、その提出を求め、又は提出された文書その他の物件を留め置くこと。
 三 当該人権侵害等が現に行われ、又は行われた疑いがあると認める場所に立ち入り、文書その他の物件を検査し、又は関係者に質問すること。
     第三款 勧告及びその公表
 (勧告)
第六十条 人権委員会は、特別人権侵害が現に行われ、又は行われたと認める場合において、当該特別人権侵害による被害の救済又は予防を図るため必要があると認めるときは、当該行為をした者に対し、理由を付して、当該行為をやめるべきこと又は当該行為若しくはこれと同様の行為を将来行わないことその他被害の救済又は予防に必要な措置を執るべきことを勧告することができる。
2 人権委員会は、前項の規定による勧告をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告の対象となる者の意見を聴かなければならない。
3 人権委員会は、第一項の規定による勧告をしたときは、速やかにその旨を当該勧告に係る特別人権侵害の被害者に通知しなければならない。
 (勧告の公表)
第六十一条 人権委員会は、前条第一項の規定による勧告をした場合において、当該勧告を受けた者がこれに従わないときは、その旨及び当該勧告の内容を公表することができる。
2 人権委員会は、前項の規定による公表をしようとするときは、あらかじめ、当該勧告に係る特別人権侵害の被害者及び当該公表の対象となる者の意見を聴かなければならない。

まず第三九条において日本国民に限らないすべての人が告発することができるとしている。それが例え日本に旅行に来ている外国人であってもだ。
それに対し人権委員会は第四十一条で被疑者に対し裁判を起こすことができる。
さらには、その調査の名目に於いて捜査令状無しに証拠品の押収まですることができる。
これは現行法の警察の権利を遥かに凌駕する権利だ。
そして調査に基づき仲裁が行われるが、ここで活動する仲裁委員会も人権委員長が指名する(第五十七条)ことができる。
この仲裁委員会が提示する条件で仲裁ができない場合第六十条において被疑者が人権侵害をしたことを公表することができる。
一般的な社会人であれば人権侵害者として公表されることは社会的な死を意味する。
つまりはこの委員会を牛耳ることで任意の国民を合法的に抹殺することができるわけだ。
では、委員会の過半数を特定の勢力が牛耳ったことをシミュレートしてみよう。

人権委員に任命された当日のうちに、対抗勢力の幹部を人権侵害者として告発。

調査の名目で関連資料、証拠の即時押収

人権委員会を招集し、即時人権侵害と認定。

仲裁委員に子飼いの人間に指名

明らかに仲裁できない条件を提示

一定期間後被疑者を人権侵害者として公表
( = 社会的抹殺)

[以下対抗組織が壊滅するまで続く]

委員会に反対する言動を起こしたメディア、民間人、政治家関わらずすべて抹殺。

与党を脅す、または結託し来期以降の任命を保障させる。

人権委員会による独裁体制の完成

恐るべきはこの間どのような勢力であっても委員会の横暴を止める術を持たないことだ。
結果見える結末は、

・人権委員会による言論統制社会の完成
・与党との結託による一党独裁政治の完成
・権利利権に端を発する汚職政治社会(人権委員会には政治資金規正法は無力)

この法案が通った場合遠くない未来にこのような日本が出来上がるだろう。
このような愚策極まりない法案を推進する賛成派議員が存在することが日本の恥だ。
この法案が成立するということ、それは日本が民主主義社会で無くなるということ。
そのような事は法案賛同者以外は誰も望んでいないだろう。
だからこそ、賛成派議員は水面下でこの法案を成立させようとしている。
法律として施行されれば勝ちだからだ。
冗談じゃない。
日本の民主主義に残された時間は残り少ない。
躊躇している場合じゃない。
このような社会を望まない国民は声を上げろ。
取れる手段はすべて取れ。
法律になったらすべては終わる。誇張でなしに。
後で後悔したところでもう遅い。
声を上げるなら今しかない。