2 : ◆Robo.gBH9M <b>@ロボ : 2008/05/01(木) 16:58:38 ID:???
>>1の続き
またそれは、私の知る限り、スプーンでガツガツ食べる、唯一の日本食だった。

その後、私が学食に行って、カレーの入った大鍋に直行しなかったときがあるとすれば、それは
カレーを絶とうと無駄な試みをしたときだけだ。その日以来、私はれっきとしたカレー中毒となり、
日本のあちこちのレストランでカレーを注文し、一番おいしいカレーにありつけるのはカレー
専門店であることを発見した。

最も数の多いチェーン店は『CoCo壱番屋』だったが、東京に行くと、『カレーショップC&C』や
『リトルスプーン』、ゴーゴーカレーなど、さらに多くのカレー専門店があった。特にゴーゴー
カレーは、東京のビデオゲームの聖地である秋葉原に店舗があるので便利だった。

そんなわけで、日本に初めて1年間滞在した後、故郷のコネティカット州に戻ったときは、嬉しくもあり
悲しくもあった。ボストンでもう1年、学生生活を送った私は、当地の日本人街でカレーを食べさせる
店を探したが、どうにか日本のカレーと呼べる味にすら出合うことはできなかった。

卒業後日本に舞い戻り、ホテルにスーツケースを置いて文字通り一番最初にしたことといえば、
独特の薄茶色をしたカレールーを1年ぶりに味わうために、最寄りのCoCo壱番屋を探すことだった。

その後も、日本を訪れるたびにきまって真っ先にカレー専門店に足を運んだが、もうその前に荷物を
ホテルに置いてくることさえしなくなった。カウンター席ばかりの狭い店に、「ガイジン」のXLサイズの
服を2週間分詰め込んだ巨大なカバンを持ち込もうとするたびに、従業員が私を横目で見たものだ。

文化のるつぼで、日本人街もあるサンフランシスコへ引っ越したときには、ようやく母国で日本の
カレーを食べることができると思った。しかし、ここまで読み進んだ皆さんはもうお気づきのことと
思うが、私の期待は裏切られた。

日本のカレーを食べたいと友人に言うと、和食と米国料理を融合させた妙な店に連れて行かれた。
カレーを注文すると、上に薄切りトマトと下ろしたパルメザンチーズが乗っていた。吐き気を催す
味だった。

サンフランシスコの日本食レストランの多くがカレーをメニューに載せていたが、それはきまって
後から追加されたメニューだった。誰も注文しないし、実際に注文してみればその理由がわかる。
カレールーは、一番ましなものでもたいてい水っぽくて風味に欠ける。最悪なものに至っては、
見た目も味も、冷えた茶色い泥水のようだ。

こう書けば、私が先日ニューヨーク市を訪れ、何の気なしに『Google』で「56番街の近くの日本風
カレー店」というキーワードで検索をかけて、ゴーゴーカレーを見つけたときの気持ちをご理解
いただけると思う。

[カレー店]『リトルスプーン』のほうがもっと好きだが、贅沢を言う気はなかった。あと20分ほどで
閉店という時間だったが、店までは20ブロックほどしか離れていなかった。私はタクシーに飛び乗った。

ところが、運転手は行き先を間違え、私はタクシーに乗りながら、着くころには絶対店は閉まっていると
確信していた。閉店の5分前、午後9時50分きっかりに、私は通りの角から18メートルほどの距離を
ダッシュし、何とか閉店前に店内に入った。

私を待っていたのは、東京を約14坪分だけきれいに切り取って、ニューヨークの「ガーメント・
ディストリクト」に移し変えたかのような場所だった。

ゴーゴーカレーは、近所に店舗を構える『吉野家』のように、にぎやかなタイムズスクエアの
ど真ん中にあるわけではないが、通りさえ間違えなければ見逃すことはない。派手な黄色と
赤の日よけ、英語と日本語で書かれたカレーライス屋を示すのぼり、チラシで覆われた窓が目印だ。

>>3に続く


【米国】「日本のカレーライス」を偏愛する記者が語る『ゴーゴーカレーNY店』 [5/1] * c

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