1 : 力士 ◆RiKiCQzWKY <b>@力 : 2007/11/15(木) 11:27:14 ID:???
[コラム]中米地域でのプレゼンス拡大を図る中国

近年、食料・資源確保の必要性や巨額の外貨準備をテコに中国の南米やアフリカ等でプレゼンス拡大の
動きが目だっているが、中米地域でもこれは例外ではない。中米地域は古くから台湾と深い関係にあって
台湾の途上国支援の中心となっていたが、中国のプレゼンスが拡大することで状況が変わりつつあり、
本稿ではこの動きを紹介したい。

第二次大戦後に中米地域は反共の砦となったことから台湾と国交を有する国が多く、台湾は中米の統合の
中心的な機関であるSICA(中米統合機構)にもオブザ−バ−として参加していた。台湾も中米を地域として
最重視し、台湾の援助の半分近くは中米に向けられていたとされる。現在、台湾と国交を有する国は 24か国で、
内12か国が中米・カリブに存在する。アフリカや南太平洋の島々等他の地域にも台湾を支援する国は存在
するが中米のように地域的にまとまって台湾を支援する地域は無い。このような意味で歴史的に中米地域は
台湾にとって重要な後ろ盾となってきた。

このような中で、コスタリカが本年6月に台湾と国交を断絶して中国との国交樹立を突然発表した事は、関係者
に衝撃を与えた。コスタリカは、この理由について、世界の潮流の中で中国との関係強化は無視できない、
APEC加盟などで中国の支援が期待できる、貿易パ−トナ−としての重要度が増している等説明している。
これに加えて、非公式な場において台湾の援助が少ないことに大統領が不満をもらしていたことも報道されて
いる。コスタリカは、中米の中でも海外からの投資が多く経済運営の成功例としてしばしば取り上げられる国で、
台湾の開発戦略もコスタリカの経済運営の上で参考にしたとされるが、最終的には中国の高額な援助が台湾
から中国への乗り換えの切り札になったと見られている。台湾はコスタリカの動きに抗議して実施中のプロジェクト
も含めてコスタリカ宛の援助を全面停止したため、マイナスの影響も相応に出ている。今後、具体的な影響は
注視していく必要がある一方で、コスタリカでは中国とのビジネス拡大への期待も高まっている。

このような中国の動きに対して、台湾がコスタリカ以外の中米の国に新規の援助を約束する等猛烈な巻き返しを
図っている模様である。また、中米の主要な輸出産業はマキラド−ラ(外国向けの繊維輸出のための原料輸入は
無税とする保税加工区)の繊維産業だが、繊維製品は米国市場で中国と大きく競合する側面を持っている。この
意味で、コスタリカの動きが他の中米諸国に直ちに波及することは考えにくいが、他の中米の国の対応が注目される。

また、中国の中米での影響拡大という点においては、IDB(米州開発銀行)への中国の将来的な加盟も見落とせない
動きである。現在アジアでIDBに加盟しているのは、日本と韓国のみであるが、中国も将来的な加盟に向けて準備を
進めている。今まで中国の加盟に反対していたアメリカが反対しない方針に転換したことで中国のIDBへの加盟が
大きく前進したとされているが、いずれにしても中米地域でのプレゼンス拡大貢献の一つのル−トと成る事が予想される。
(つづく)

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティングホームページ(http://www.murc.jp/index.php)「国際通貨研究所
国際金融トピックスNo.147/国際通貨研究所 経済調査部 上席研究員 松井 謙一郎 2007年11月12日付」より

<参考資料>
ジェトロデイリ−通商弘報「国交樹立で高まる対中国ビジネスへの期待(コスタリカ)」(2007年8月1日)

(IBTimes 2007年11月15日 10:54)
http://jp.ibtimes.com/...14043.html

(関連スレ)
【コスタリカ】台湾との外交関係を断絶し、中国と国交を結ぶ[06/07]
http://news21.2ch.net/...181183787/ (dat落ち)

【中台】コラム:中米地域でのプレゼンス拡大を図る中国(IBTimes)[11/15] * c

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS