2 : 本多工務店φ ★ : 2007/11/22(木) 01:40:47 ID:???
ラーメン業界のニューウェーブ

その一方で、この10年間、ラーメン業界には大きな変化が起きている。

1996年に東京、横浜で開店した麺屋武蔵、青葉、くじら軒の3軒の店は、それまでの流れを変えた。
これらの店が打ち出したのは、まず、素材へのこだわりである。

麺屋武蔵はさんま節というこれまで使われたことのない材料をスープの出汁に使い、
さらにラーメンにはつき物だったうま味調味料(二郎ではかなりの量が使われている)を使わないようにした。
これは漫画「美味しんぼ」などに見られる自然派志向の広がりから大いに受けた。

青葉は鰹節などの魚系の出汁と豚骨などの動物系の出汁を別々にとり、
後から合わせることで双方の風味を引き立たせるダブルスープという手法を採用した。
この手法は多くの店が追随した。

店の内装についても、くじら軒は飲食店専門のコンサルティング会社にプロデュースを依頼し、
女性や家族連れの入りやすい店作りをしている。
サービスも女性用に紙ナプキンを用意するなど、格段に丁寧になった。
こうして、古いタイプの店は色あせて見えるようになり、客層も女性やカップルが増え、様変わりした。


時代に逆行しても勝つ経営

しかし、二郎はこの流れにはまったく逆行しているのである。
素材に対するこだわりがあるとはいえないし、店は決してきれいではない。
サービスらしいサービスがあるわけではなく、一見(ルビ=いちげん)にとっては難しいルールもある。
その上、ラーメン業界は新規参入が容易で、競争は厳しい。
にもかかわらず、二郎はニューウェーブの店よりも集客力があるし、最近では女性客も増えている。
この強さの秘密はどこにあるのだろうか。

バリューチェーンという経営分析手法では、ビジネスの上流から下流までのうち、どこで価値を生むかを考える。
ニューウェーブの店では上流(素材の調達)から下流(顧客へのサービス、マーケティング)まで均等に力を入れているのに対して、
二郎の場合、上流、下流とも切り落とし、ラーメンの製造という部分にだけ特化している。
量が多くて脂っこく、値段も安いという昔からのスタイルを徹底的に守ることによって差別化がなされている。
また、雑につくっているようでいて、完全に真似することは難しい。
流れに逆らうことでオンリーワンになっているのだ。

独特の注文ルールも、ネットの普及で敷居が幾分低くなり、
むしろ二郎という独特の「経験」を楽しめる場として、新しい客の獲得につながっている。
逆張り戦略も徹底すれば成功するという好例が、二郎なのではないだろうか。

【コラム】ラーメン二郎 驚異の行列の秘密:時代に逆行しても勝つ経営 [07/11/21] * c

トップ   新規 一覧 単語検索 最終更新   ヘルプ   最終更新のRSS