サンケイビジネスアイの元外務省官僚 佐藤優氏のコラムから

2月13日、北京で開催された6カ国協議において朝鮮半島の非核化に向け初期段階に各国が取る措置についての合意文書が採択された後、米朝対話が進んでいる。これ自体は朝鮮半島の緊張緩和に向け、日本としても歓迎すべき動きだ。
 にもかかわらず、日本のマスコミでは過去1カ月の間に対北朝鮮外交で日本の「孤立化」が進んでいるという見方が強まり、6カ国協議で日本外交が失敗したのではないかとの見方が定着しつつある。これに筆者は強い違和感を覚える。ちなみに筆者は外務省と敵対関係にあり、外務省の活動を肯定的に評価しても見返りは何もない。しかし、外務省の成果はきちんと評価するという公平な観察者としての目は失っていないつもりだ。
 多国間協議で日本が「現金自動支払機」のような扱いを受けることが多いというのは残念ながら事実だ。国際秩序が最終的に暴力(戦争)によって担保されている現状で、軍事力の行使に制約がある日本の発言力に限界があるのは仕方がないことだ。しかし、日本の国力を過小評価することも禁物である。国力を測る上で経済力は決定的に重要だ。世界第2位のGDP(国内総生産)をもつ日本が本気で発言するならば、それなりの影響力は行使可能だ。今回の6カ国協議で、北朝鮮への重油供給が決まったが、拉致問題を抱える日本としては、当面、経費を負担しないことになった。「カネは出さないが口は出す」という枠組みを日本が作ったのだ。
FujiSankei Business i. ラスプーチンと呼ばれた男 佐藤優の地球を斬る/6カ国協議の真実とは

これは読んでおくといいかもね。