平沼氏は郵政選挙において郵政民営化に反対するとして自民党と袂を分かち、亀井静 綿貫民輔らの国民新党への入党を誘われたものの彼らとは別に一貫して郵政民営化反対を主張しつづけてきた。
その論の中身はともかく、自民党という与党の持つ権力に恋々とせずいち議員としてブレずに持論を展開する姿勢にはある種の尊敬の念すら抱いていたのだが。

平沼赳夫元経済産業相は11日、岡山県和気町で講演し、自身が交渉窓口役を務める「郵政造反組」無所属議員12人の自民党復党問題について「私の復党は若干タイミングがずれるかもしれないが、参院選を考えれば戻ることは確実だ。中川秀直自民党幹事長が(民営化賛成の)踏み絵を踏ませるのであれば、やり合おうと思う」と述べ、最後まで民営化法案に反対した自身の復党は他の11議員より遅れても、無条件での復党にこだわる姿勢を強調した。【佐藤慶】
自民党:郵政造反組・復党問題 平沼元経産相「遅れても無条件で」 「踏み絵」に反発”自民党:MSN毎日インタラクティブ

この記事から読み取れる平沼氏の姿勢は自分の持つ選挙基盤をネタに与党の持つ権力を手に入れようというものとしか読むことができない。
幻滅した。


郵政選挙における自民党の選挙戦略の一大転換点は組織票よりも浮動票の取得をメインに据えたという事にあると思う。(公明党の選挙協力があってのものではあるが)
その結果、与党で2/3の議席を得た。
これは自民党にとって大きな転換点であったのとともに、国民にとっても極めて大きな転換点であった事を忘れてはならない。国民はあの選挙において「投票することで国が変わる」という体験をしたのだ。これこそがあの郵政選挙の残した最大の功績であり、等しく小泉純一郎の最大の功績であったと思う。
今回取りざたされている郵政民営化造反議員の復党問題は、安倍政権および安倍自民党が「小泉純一郎のつくり出した国民主体の党」の路線を取るか「旧態依然とした組織票をバックグラウンドに頼る党」に逆戻りをするかの踏み絵であるという事を自民党執行部は忘れてはならない。
これで旧自民党に戻るようになれば国民の政治への関心度は小泉政権時代の超高状態から一気に反落し地に落ちるだろう。
平沼氏と安倍首相は教育や安保において極めて近いスタンスを持っているといわれている。確かに、似た政策指向を持つ政治家は同じ政党同じ会派に属している事が自然であるとは言える。だが、その場合においてもタイミングは極めて重要であって、来年に「苦戦が予想されている参議院戦」を控えている今はその最悪の時期だ。
この時期に復党させることは、如何に論を弄そうとも参院選目的、票田目的の復党であるとの批判は決して逃れることはできない。例えその事実がどうであろうとも。
俺は自民党が如何なる条件であっても参院選前に造反議員を復党させた場合安倍政権、安倍自民党に対して一切の期待をしないし、確実に次の参院選で自民党は負けるだろう。(*1)
それは奇しくも多くの世論調査の結果が証明している事かと思う。
そんな愚挙は冒してほしくはない。


*1 しかし対抗馬が民主党なので普通に勝つとも思うが。