ここ数日読書をモリモリしてる。
そろそろ活字を見過ぎて文字がゲシュタルト崩壊しはじめたのでここらで一旦終了。

戦力外ポーク


路線的には板谷バカ三代バカの瞬発力に近いエッセイ集なんだけど、それらと決定的に違うのは、これらが目次からあとがきまで畳み込むようなギャグや笑いのエッセンスが山盛りになっているのに対し、この作ではふとしたところにピリリと辛いエッセイやイイ話が散りばめられていて、これはこれでいい感じだ。
特に金角&銀角解散に至るエピソードは(失礼ながら)意外なまでの仕事に対する真摯さみたいなものが窺い知れてゲッツ板谷ファンとして心に残った。

インド怪人紀行


インドは理屈じゃなくスゲェ。
ただそれだけのことをひたすら等身大に、ひたすらゲッツ語(としか言いようの無い言い回し)で語られていくインド紀行。
西原理恵子の元ダンナ(*1)で戦場カメラマンのカモちゃんこと鴨志田譲氏、ゲッツ氏の元編集者のハックとナベちゃんの4人のオッサンが恐ろしい程のバイタリティとチャレンジ精神でインドに体当りしていき、ボッコボコに完敗する。
ひたすらその繰り返しだ。
ひたすらその繰り返しでありながら等身大のまま描き出されているがゆえに、インドの国や人の深層に近い部分が確実にあぶり出されているんじゃないかと思う。
そんなエピソードの中でドキリとするのがクライマックス(?)でカモちゃんの口から発せられるナベちゃんへの言葉。

「俺に誤ったってしょうがねぇだろ!それに、お前の”すいません”は俺はもう信用してないからっ。自分をちゃんと見つめ返しもしないで、とりあえず謝る。でも、それから15分も経たねえうちに平気でカッコつけたことが言えちゃう……。会社をクビになってから、ハックは一人でタイを回った。そして、それが面白かったから、引越し屋のバイトを黙々と続けて次の一人旅の旅費を貯める。……お前にはソレがないっ。頭の中を真っ白にして、何かにぶつかっていくことができないっ。その上、何一つ達成していないのに、やってきたこと、見てきた以上のことを平気で語ろうとするんだよっ、貴様はああっ!!」
「おメーの何がダメかを簡潔に言ってやるよっ。最初は人一倍ヤル気がある素振りを見せるんだけど、すぐにそれが空回りし、持続力が無いから途中でパニックを起こして逃げ出すっ。そしてそれを自覚しないまま、みんなに迷惑をかけてんのに平気で言い訳をするっ。何かを語ろうとするっ。……結局は、何かの業界のケチな便利屋になるだけだなっ、貴様は!」
(P372-373より引用)

胃を誰かに捕まれたようにズキッとした。
程度の差こそあれ俺の中にもナベちゃんがいる。
とりあえず謝って目先の難を逃れようとする、プライドや頭でっかちな考えに邪魔されてぶつかっていくことができない、決定的に持続力が足りない。そんな俺の一部分がカモちゃんの言葉に撃ち抜かれた感じがした。
その直後に語られるゲッツ氏のカモちゃん評。

前にも書いたが、カモちゃんは人をほどんど受け入れない。よって、相手にも(このオッサン、なんでこんなにピリピリしてんだよ……。ま、近寄っても怒鳴られるみたいだし、係わり合いになるのは止めとこ)って感じで敬遠されてる。
が、カモちゃんはタマーーに心を開くと、その人物に全てを伝えようとする。で、それは確かに度を越すこともあり、一緒にいると異常に疲れるばかりか、時にはタチの悪いおせっかいに感じることもある。
そして、カモちゃんはソイツがダメだと判断すると、さっさと見切りをつけて去っていく。
(中略)
他人の行き方に対してツベコベ言う。……それはある意味でモノ凄いリスクを背負うことでもある。
なぜなら、それを言われた者は大抵(るせえっ、放っとけよ!)という気持ちになるし、ツベコベ言った側はその後、相手から非常に厳しい目で見られることになるからだ。その上、仮にその忠告通りに動いてもウマくいかなかった場合、相手の「恨みの的」になってしまうことだって有り得るのだ。
特に今の日本の風潮では、陰口ならいざ知らず、面と向かって相手にツベコベ言うことはタブー事項にさえなっている。……が、カモちゃんは「仲間」と認定した者には、平気でソレをやるのである。
(P375-376より引用)

困った。
引用してみたものの、この文章から感じたことをどう伝えたらいいのか言葉が出てこない。
どう表現すればいいのかわからないけど、この一文とそこに繋がる旅の歴史、それだけでこの本には読む価値が確実にあるような気がする。
いやはや、まいった。
ゲッツ板谷の描き出す限りなく能天気なギャグに浸るつもりで買ったつもりの本に完敗させられた。
30も過ぎて実家でニートやってるクソ兄貴に叩きつけて読ませたいと思いつつも、変に感化されて「インドにマリファナ吸いに行ってくる」とか言い出しそうで悩んでたり。
まいったまいった。


*1:2003年に離婚していたらしい。マジカ

ベトナム怪人紀行


インド怪人紀行の前に出版された紀行もの。
ゲッツ氏とカモちゃん、現地コーディネーター(?)の鈴木くんの3人でベトナム各地を旅をしつつ、ベトナム戦争を手がかりにベトナムを解き明かしていく。
ゲッツ氏の目線から見えたベトナム戦争がその目線ゆえに、等身大のベトナム人の戦争観や国家観をよりリアルに描き出している。
インド紀行より印象が薄いことは否めないが、紀行本としても戦記ものとしても十分面白い作品だと思う。

The Cash Machine 縲恂ラけ続ける仕組みをつくれ!0


エリヤフ・ゴールドラット博士の提唱したTOC、その普及に大きな役割を担った名著「The Goal」の5作目。
生産工程での効率化手法と捉えられがちなTOCを如何に営業戦略に生かすかを軸にドラマが展開する。
その中には、ちょっと見ただけでは見逃しそうな小さなブレイクスルーが随所に散りばめられており、それこそが異分野でTOCを導入するためのキーになるのだろう。
本書は単体で読んでもそれなりに楽しめるとは思うが、その真の内容を知るためには過去4冊の”The Goal”を読んでからのが良いだろう。
参考:@IT情報マネジメント用語事典 [TOC (theory of constraints)]

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