葢を開けてみたら自民党が300議席に迫ろうという歴史的大圧勝。
横ばいの公明、共産に歴史的大敗の民主党という図式に。
この選挙戦を通じて気がついた事をつらつら書いて今回の総選挙の統括としてみる。

自民vs民主の差

自民党と民主党にこれだけの大差が付いた理由として、小選挙区制のシステム的なものが一因となっていたことは間違いないだろう。(小選挙区制では各選挙区で1名の候補者しか当選できないため、各政党の自力が拮抗していればいるほど ちょっとした要因で片方に票が集中しやすい。)
しかし、今回の結果は決してそれだけで引き起こされた訳では無い。
今回の選挙戦(とそれ以前)を見守って来て、勝敗を分けたキーワードは「差別化」だろうと結論づけてみる。


今回の総選挙以前の二大政党制は、言うまでもなく自公”民主によって形成されて来た。
しかし、民主党は以下の党幹部出自を見るまでもなく、非常に自民党的なイデオロギーに旧社会党的なイデオロギーを混在させており、更に対外的には社会党的なイメージを隠して来た結果、一般的なイメージは極めて自民党に近いと思う。

代 表             岡田 克也(自民党経世会出身)
最高顧問           羽田 孜 (自民党経世会出身)
代表代行(副代表)     藤井 裕久(自民党経世会出身)
副代表            小沢 一郎(自民党経世会出身)
                石井 一 (自民党経世会出身)
                中井 洽 (民社党出身)
                米沢 隆 (民社党出身)
                岡崎 トミ子(社会党出身)
幹事長            川端 達夫(民社党出身)
政策調査会長        仙谷 由人(社会党出身)
国会対策委員長      鉢呂 吉雄(社会党出身)
参議院議員会長      江田 五月(社民連出身)
参議院幹事長        輿石 東 (社会党出身)
幹事長代理         平野 博文(社会党出身)
役員室長          北橋 健治(民社党出身)
総務局長          齋藤 勁 (社会党出身)
組織委員長         大畠 章宏(社会党出身)
ネクスト外務大臣        鳩山由紀夫(自民党経世会出身)
ネクスト国土交通大臣      菅直人(社民連出身)
ネクスト厚生労働大臣     横路孝弘(社会党出身)
ネクスト経済財政大臣     峰岸直樹(社会党出身)

つまり今回の総選挙以前の二大政党制は、一般の国民にとって「自民党vs自民党」でありどちらを選んでも大差無い物であったと思う。
言ってみればJALの次世代航空機がロッキードになるかボーイングになるか程度の違いでしかなく、一部のマニア以外の選択は「どっちでもいい」し「違いがわからない」のだ。
昨今の国会議員選挙の投票率の低さは一般的に言われる「政治不信」などよりも、むしろこのような「どちらを選んでも変わらない」というイメージに依るところが高かったのでは無いかと思う。
イデオロギーに差が無く実績が自民に偏っていたのであれば、自民党が政権政党であり続けたのは必然だったのだろう。


そんなイデオロギー的に膠着した二大政党に対して、先の通常国会より小泉首相は郵政民営化を軸に徹底的かつ明確な差別化を図って来た。
ここで民主党は「総論賛成各論反対」ではなく「反対」のスタンスを明確に打ち出し、党議拘束をかけ反対票を投じた。
これが第一の失策だろう。
せめて党議拘束をかけずに各議員の判断で賛否を投じていれば、党全体にネガティブなイメージを負うことを避けれたのだが、自民党が分裂している状況で「民主党が一枚岩であることのアピール」を重視するあまりに戦略を誤った。
(民主党内部には郵政民営化にポジティブな意見を持つ議員が多く在籍している。
参考:「夏の暑い戦い」 新・野口健公式WEBサイト)
また、民主党独自に法案の形で対案を提出していれば自民党案との優劣と言う形で選挙戦を戦えたのだろうが後の祭りだろう。
当時の小泉首相がどこまで見越して来たかは不明だが、結果として自民党には「郵政改革政党」というポジティブな、民主党に「郵政改革抵抗政党」というネガティブなイメージを付ける事に成功した。
これが勝敗を分ける最大のポイントになった。


8/8に衆議院が解散され、真っ先に民主党が打ち出したキャッチフレーズは「もっと大事なことがある」だった。(後に「日本を、あきらめない」に変更)
これが第二の失策だ。
一般的には先に述べたように自民党と民主党の差はほとんど認識されていないため、民主党の主張する「もっと大事なこと」は自民党のそれと差があると認識されず、郵政に基づき貼られた「郵政改革抵抗政党」のイメージを払拭することができなかった。
民主党はむしろ、真っ先に郵政民営化について自民党との対決姿勢を示すべきであった。
その対立が「郵政公社維持」であろうと「完全国営化」であろうと少なくとも今回のような大差での敗北にはならなかったのではないか。
さらに悪い事に、選挙戦中盤になって郵貯簡保のみ民営化などと言い出した事で、自ら「後だしじゃんけん」というレッテルを貼られる事になる。
これによって完全に勝敗は決してしまった。


8/30の公示以降(勝敗は変わらないとしても)挽回のチャンスはあった。
それは付け焼き刃的なイメージの強い(事実、各所で論破されていた)年金制度改革や財政再建ではなく、党是として着々と進めて来た対中対韓外交や、沖縄をモデルケースとした道州制への移行プランなどを新たな軸とした自民党との差別化を図ることで、自民党の狙う「郵政民営化の是非」のみを軸とした選挙戦に待ったをかける事ができたはずだ。
それにより自衛隊のイラク派遣による反戦ムードなどで反自民的な感情を持つ浮動票の受け皿として票を受ける事ができただろう。
要するに明確な対立軸を追加する事で有権者の政党選択を分散させ、言い方は悪いが焦点をぼかしてしまえば良かったのだ。
しかし、民主党が打ち出した方針は「民主党に一度政権を取らせて下さい」で、自ら自民党と党策に大差が無いことを認めてしまったのだ。
結果としてこの3度の機会すべてにおいて、自民党との間に有利な対立軸を設定する事が出来なかった民主党の党戦略の拙さが、ここまで記録的な大敗を喫してしまった一番の原因だろう。


では、この先民主党はどうやって再建すべきだろう。
そのキーワードも今回の総選挙と同じく「差別化」だろうと思う。
自民党との間にどのような差を見出すかに全力を注ぐべきだ。
更には自民党の政策であっても認めるところは認め、政策に差があるところは徹底的に対決する姿勢を打ち出す事で、この4年間に染み着いてしまった「反対のための反対政党」というイメージを払拭すべきだろう。
奇しくも小泉純一郎が党総裁になって行ってきたように。
そうなったときに日本は本当の意味で二大政党制の野党第一党を手に入れるのだろうと思う。

諸派の動き

郵政民営化で自民党から分離した国民新党と新党日本は、終始小泉政権批判に明け暮れた結果大惨敗という結果となった。
国民新党は地元基盤のはっきりした亀井 綿貫両氏が小選挙区で当選した以外、両氏の所属する北陸信越 中国の各比例ブロックで1議席づつをやっと拾う。
新党日本は近畿ブロックで滝実議員が辛うじて当選した以外全滅である。
結党以来日が浅いとはいえ明確な方針を出せなかった事、さらには反小泉的姿勢を全面的に打ち出しすぎたことで、有権者の反感を買った事が大きかったのだろうと思う。


社民党は議席を増やしたが、小選挙区で当選は沖縄の照屋氏のみで比例区での民主票の取り込みと思われる部分が目立つ。
近畿ブロック単独立立候補の土井たか子氏は落選により事実上の引退。
大阪10区で立候補した辻本氏は68000票を獲得するものの落選、比例近畿ブロックで復活当選を果たす。
全体的には議席増だが退潮傾向は続くと思われる。


個人的に以外だったのが比例北海道ブロックと新党大地。
比例北海道ブロックでは1位 民主、2位 自民、に続き公明をおさえての第3位を獲得し、比例1位の鈴木宗男氏が当選した。
このことから北海道の根強い地元への利益誘導型政治家重視の傾向が見て取れる。

各テレビ曲の選挙特番あれこれ

・NHKは地方局に切り替わりすぎ。
・テレ東はドラマがおもろいけど余計
・フジはナイターとか挟むのやめてくれ
・日テレはスルーしてたからよくわからん。
TBS(笑)
・古舘はそろそろバラエティーに戻れ。
・落選確定の選挙事務所からの中継が鬼
・田原総一朗イラネ

全体的に見て

政治的無関心層に目を向けさせたという意味で今回の総選挙は極めて大きな意味があったと思う。
また、今回の総選挙から野党のあり方が強く問われる結果になったと言う意味でも大きかった。
この先どのように政界が変わって行くのかを注意深く観察して行きたいが、どう変わるにせよ変わらないにせよ極めて重要なターニングポイントとなったと感じる。
実に面白かった。

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