ITmediaニュース:未来のニュースメディアは“Googlezon”で決まりか?

観測筋はインターネットがすべてを変えると言い続けている。まあ、恐らくすべてとはいかず、原材料から鉄鋼を作るための温度まで変えてしまうわけではない。だが、インターネットが多くのものを変えるのは事実だ。変化はたくさん起きているが、そうした変化が、例えば今から10年後にどんな結果をもたらすかを、正確に言い当てることはまだできない。

Itmediaの記事から考えてみる。


インターネットでのニュース発信が他のメディアでのそれに比べ秀でているのは、無制限の容量とデータ検索の容易さだろう。
時間を容量限度にもつテレビやラジオなどのストリーム媒体は物理的に情報を内包できる限度が一義的に決定されてしまうのに対し、インターネットでは理論上無限大の情報スペースを有することが出来る。(もちろんそれに対する投資は必要になるが)
紙面を容量限度に持つ新聞や雑誌などの紙媒体も、紙面の蓄積によって理論上無限大の容量を持つことができるが、物理的な保管スペースの問題や後に述べる検索効率の悪さから無限の容量を持つと考えるメリットは少ないと思われる。
次に検索効率の高さだが、Googleをはじめとする各種の優秀な検索エンジンの存在がインターネットの優位性の大きな一因になっているだろう。
対してストリーム媒体では有効な検索手段は存在せず、データの受け取り側が自身の時間を消費してその情報を受け取る以外に方法が無い。
新聞のテレビ欄などで主要なニュースのダイジェストは得ることができるが、知りたいデータのみをピックアップすることは不可能だろう。
一方紙媒体であれば目次や大見出しなどから情報をある程度検索することはできるが、複数の雑誌や新聞にまたがった時点でその検索効率は大幅に下がり、データに対するコストは増加する。
また、過去のデータまで検索対象に含めることは現実解として取ることが出来ないため、やはりインターネットに比べ検索効率では何歩も劣っていると言わざるを得ないだろう。


では、これだけ従来のメディアに比べ秀でているはずの「インターネットでのニュース発信」が紙やストリームメディアのそれと比べてマイノリティに甘んじているかだが、これは大きく分けて2つの要員があるのでは無いかと思う。
1つは収益構造が確立されていないこと。
もう1つは過去のデータを一定期間を超えた時点でスポイルしていること。
1つ目に関しては未だ黎明期であることを考えれば仕方ないことだろうとは思う。
現在の試みとしてネット広告を表示することによる広告収入(各誌)や、情報の有料化(夕刊フジなど)などで収益を上げようとしているようだが、どの方法もそれほどの収益を上げてはいないようだ。
もう1点目は先の収益構造が無いことに起因しているのだろうが、データを長期間保存するランニングコストの問題で削除しているように思える。
データの鮮度が落ちるとデータの再利用率が落ちることを考えるとそれもまた合理的な考え方だとは思うが、それによって従来のメディアと比肩したときの優位性を一つスポイルしてしまっていることが悔やまれる。
ここであえてコスト度外視でデータを無期限に蓄積することでスケールメリットを発生させ他社に対する優位性を持つことが出来ればデータウェアハウスとしての役割から収益を上げやすくなるとも思うわけだがさてさて。


ここで、ユーザー(というか俺自身)の観点からメディアに対して何を求めているかを考えてみると大きく分けて次の2点に集約できると思う。
1つ目は取材によるデータの発掘。
もう1つ目はデータの大まかな峻別。
こう考えた場合、思い切って次のような構造にしてしまってはどうかと考えてみる。
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こうすることで、データの保存コストを利用各社でシェアできる上他社の情報ソースを元に新たなニュースとして配信することができる。
また、データの提供元をメディアから切り離すことで取材に特化した企業の誕生なども期待できるのではないか。
もちろんメディア各社のスクープに関しては即データウェアハウスに登録する必要は無いが、自社でスクープとして情報を発信した後登録することで本体の一次収益に加えてウェアハウスデータの利用による二次収益も期待することができる。
更にはメディアはデータの峻別に専念することができるので、各メディアの論調や峻別傾向などが鮮明に出やすく、ユーザーにとっても選択しやすくなるだろう。
こういった形態こそが、未来に向けたニュース配信の骨格になって欲しいと本気で考える次第だがはてさて。