修正案:人権委員会編#6に関する補足エントリです。
BI@Kさんの書かれたこのエントリ内で書かれた

第3項については、保留というのがピンとこなかったので、75%以上の賛成に置き直しました

という部分に呼応して書き出すこととします。
上記修正案では人権委員会の決議において、人権委員に「保留」票を投じることができるとし、これが出席者の2割を超えたとき特定の議決(勧告やその公表)をすることができないとしています。
これの意図している部分を掘り下げて書き出してみます。


ここで想定している「保留」とは委員会決議において「賛成」「反対」のいずれかでもなく、またいずれかの判断も付かない場合に投じられる票です。
一例としてこのあたりのケースを想定してみます。
(エントリのタイトルが「確実に起こること」としていますが、確実に起こるとは限りません。しかし私は起こるだろうと予想しています。)
可読性を高めるために想定するケースをこちらにも書いておきます。

中規模IT企業A社は開発プロジェクトの人員増強のため、即戦力となり得る人材の雇用を考え、中途社員の採用を企画し就職情報誌に1名募集の求人広告を出した。
後日、広告に対し日本人3名と外国人1名が応募してきたため採用試験を行った。
その結果、高得点を出した日本人D氏と外国人F氏に選が絞られ、結果日本人D氏を採用する運びとなった。
即日外国人F氏に対し不採用の告知を行ったところ、不採用理由を聞かれ上記の事実および僅差で不採用となった旨を通知した。
それに対しF氏は「不採用となったのはA社の外国人蔑視のためで人権侵害である」として人権委員会に対し訴え出ると通告した。

こんなケース。


まず、内容から確認するとF氏の申し立ては第三条一項一号ハ

第三条 何人も、他人に対し、次に掲げる行為その他の人権侵害をしてはならない。
一 次に掲げる不当な差別的取扱い
ハ 事業主としての立場において労働者の採用又は労働条件その他労働関係に関する事項について人種等を理由としてする不当な差別的取扱い(雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律(昭和四十七年法律第百十三号)第八条第二項に規定する定めに基づく不当な差別的取扱い及び同条第三項に規定する理由に基づく解雇を含む。)

に基づくものになります。
この場合争点は雇用者の判断に差別的考慮の有無になるかと思います。
では(人権委員による)客観的視点から、この不採用の決定に差別があるかどうかどのように判断するのでしょう?
まずは事実認定からするでしょう。しかし、明らかな実力の差が無い限りどの人物を採用するかは雇用者の選択に委ねられるべきだと考えられますので、ここに違法性を見出すことは無いと思います。
仮にこの判断に、同業他社のようなA社と同じような専門性を持つ第三者のオピニオンを得たとしても、それほど大きな差を見出すことは難しいでしょうし、多少の差異は企業の展望などに左右されるものですので容認されるでしょう。


ここまで考えたところで、一旦差別問題から離れてあえてF氏が日本人でかつあらゆる差別を(その時点で)受けるとするに足る属性を持たない(うまい書き方がわかりませんが一般的に被差別者とされる方でない)場合を考えてみます。
その場合、僅差であるかに関わらず(僅差であればなおさら)不採用であって、その不服を申し立てようとも結果は変わらないでしょう。
それは先にも述べた雇用者(採用者)の自由に委ねられるべき部分であるからです。


ここで、先の例に立ち戻ってみると日本人であった場合の仮定を鑑みるとこれもまた不採用であることは妥当であると捕らえるべきだと思います。
これは人権の基本的な考え方における「万人は平等である」という事を考えた場合、日本人に於いて不採用が妥当であれば、対象が外国人であったとしても妥当だと考えなければならないと考えるからです。
では何ゆえに「保留」が必要なのでしょう。


人権委員会によって判断された人権侵害であるか否かはその後の判断の基準になると思われます。
その中であえてどちらかの判断をすることは、どちらの判断をすることも後の基準として使用されることを考えるとどうかと思うわけです。
人権委員会としてどちらの判断もしないという事が必要であると考え、その余地を残すため個々の人権委員に判断を「保留」することを許し、さらに複数の委員が「保留」を示した議決に関しては「勧告」や「勧告の公表」などのより強い処分をしてはならないとした方が良い気がします。


ただし、議決する以前に受理されないと考えることもできますが、微妙な懸案についてグレーな部分はグレーである(白黒はっきりさせない)ことにメリットがあると思いますので、議決の「保留」を修正案に加えておこうと考えております。

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